TIME誌で知る世界の時事ニュース
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アフガン女性の勇気―タイム誌カバーの意味
【ショッキングな写真】

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僕は今までタイム誌のカバー写真でこれほどショッキングなものを見たことはありません。それは、もし「その傷」がなければ見る人を困惑させるどころか、その美しい顔に見惚れるような女性の写真です。

しかし、彼女は誰かによって耳と鼻を削がれ、その惨状を訴えるために敢えてタイム誌のカバーとなることを決断したのです一体、誰が、そしてなぜ?しかも彼女は大丈夫なのでしょうか。そのストーリーは8月9日付アジア版タイム誌の記事「アフガンの女性と戻ってきたタリバン」("Afghan Women and the Return of The Taliban" by Arvy Baker, p.14-22, TIME magazine issued on August 9, 2010)に掲載されています。

タリバンの蛮行】

このカバーにある女性の名前はアイーシャ(Aisha)。18歳。夫の暴行(DV)を受けて、殺されそうになったため夫の家族から逃げ出したところをタリバンに捕まって、他の女性たちへの見せしめのため厳罰を下され、夫からナイフで耳と鼻を削ぎ落されたのです。

タリバンとはみなさんもご存じのとおり、パキスタンとアフガニスタンで活動するイスラム原理主義運動、もしくはその運動を支持する武装勢力のことをいいます。彼らは一時はアフガニスタンを支配した時期もあったのですが、2000年に入って9/11を策動したアルカイーダと連携し、国際的なテロ活動を拡大させたため、アメリカとその有志連合諸国から攻撃され、現在もその戦闘がパキスタン、アフガニスタンを中心に続いています。

特に問題なのは、彼らはもともとはイスラム神学校で教育を受けた「学生」が中心だったのですが、その後過激なイスラム原理主義を信奉するようになり、公開処刑を実施し市民の見せしめにしたり、女性は学ぶ事も働く事も禁止し、外出さえも認めないなど、一時はあったアフガニスタン市民の支持も失ってきたことです。

アメリカなどの支援を受けた現在のアフガニスタン政府はタリバンとは対峙しているため、女性の基本的権利は認められ、例えばオリンピック代表にRobina Muquimyar Jalalaiさんなど2人の女性アスリートが参加するといった女性の社会進出も僅かではありますが進んでいたのです。

【アフガンの女性たちの運命】

Jalalai
ところが、今、アフガン政府はタリバン勢力との一部和解を画策しているとの話があり、そうなれば女性たちの権利は再びタリバン政権時代のように踏みにじられる恐れがあると女性たちは恐れているのです。

そのタリバンの蛮行の端的な例がこのタイム誌のカバーに出たアイーシャさんなのです彼女は命を張って、アフガン政府や世界に「このままでは私のような不幸になる女性がアフガニスタンにどんどん増えていく」と訴えているのです。一枚の写真が世界を動かすことがある。ベトナム戦争のときの米軍の空爆から逃れる少女の写真が世界を動かしたこともありました。今回、この写真がそうなるのかどうか、それはわかりません。しかし、少しでも世界の人たちがアフガンの女性の惨状に目を向けるきっかけにはなると思います。

いづれにしても気になるのはアィーシャさんの運命です。タイム誌に掲載されたことでタリバンから狙われるのではないか。彼女の顔を整形して元の顔を取り戻すことは出来ないのか。疑問はつきません。幸いなことにタイム誌のmanaging editorのRichard Stengel氏は彼のメッセージの中で、彼女の写真を掲載することで彼女の身の危険が侵されないように様々な手立てを打つとともに、カリフォルニアの人道支援組織 the Grossman Burn Foundationの助けでアメリカで整形手術を受けるように手配しているそうです。本当によかったです。

この記事はアメリカのプロパガンダだと思う方もいるかもしれません。しかし、日本の新聞や雑誌でここまで踏み込んだスクープを出せるメディアは果たしてあるでしょうか。僕はアィーシャさんとタイム誌の勇気に脱帽します。みなさんはどう思われますか?

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急ピッチで進む鉄道建設―中国の躍進
【進む鉄道建設】

リニアモーターカー
上海浦東国際空港と上海の中心部を結ぶ約30キロを7分間で走るリニアモーターカーはなんと時速430キロで走るということで、上海観光のひとつの目玉になっています。僕は3月に上海を訪れたときにはそのリニアカーに乗るチャンスはなかったのですが、上海に限らず今中国では主要都市を結ぶ鉄道網の構築計画が着々と進んでいるという記事が8月16日号のアジア版タイム誌に掲載されています。

「成長のエンジン」("Engines of Growth" by Austing Ramzy, p.34-36, TIME magazine)

【広がる鉄道網】

中国の鉄道
2008年のリーマンショック以降も、欧州や米国、日本などの景気低迷を尻目に成長を続けている中国。その重要な部分はインフラ整備に関わる投資なのですが、中でも鉄道網の整備計画とその進捗状況には目を見張るものがあるようです。

例えば列車の平均速度。1993年には時速48キロだったのが、2007年には70キロまで伸びています。中でも武漢と広州間は時速313キロで走り、10.5時間かかっていたのが今では3時間で行き来できるのです。

中国政府の計画では、鉄道建設投資に2009年の880億ドルから今年は1200億ドル、そして今後10年間で7000億ドル以上が投下される予定だそうです。特に高速鉄道網については、現在の6552キロを2年間で倍にするという野心的な計画を立てています。これが実現すると中国の鉄道網は主要国の中では飛びぬけて競争力のあるものになるでしょう。

【狙いとリスク】

その狙いは、中国国内の西部地域の長期的な経済発展を促すためだと言われています。国内の鉄道網が整備されれば人とモノの流れが円滑になり、特に高速鉄道が伸びることで国内経済のコストの削減、効率化が進むからです。

しかし、リスクもあります。依然として中国の人口の半分は地方に住んでおり、都市との所得格差も大きく、高いチケット代金を払って高速鉄道を利用することは出来ない人々も多いのです。所得の低い人たちにとっては高速鉄道よりももっと安い鉄道の整備を優先させるべきとの意見も多いのです。

鉄道はCO2の排出も少なく、地球温暖化防止にも役に立つわけですから、中国の野心的な鉄道整備計画は世界全体としても望ましいことだと思います。したがって、中国の鉄道網整備は、CO2の排出がアメリカに次いで多いといわれる中国の環境政策面での優位性を高めるひとつの武器となることでしょう。

現在は鉄道網が世界で最も発達していると言われる日本も、うかうかしていられませんね。

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テーマ:中国 - ジャンル:海外情報

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