TIME誌で知る世界の時事ニュース
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マイクロ金融は米国で成り立つか?
グラミン銀行とムハマド・ユヌス】

ユヌス氏
みなさんはグラミン銀行をご存じだろうか?それはバングラデシュにある銀行で、大学教授ムハマド・ユヌス氏が1983年に創設した(今はグラミン銀行総裁)。この銀行は、マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした比較的低金利の無担保融資を主に農村部で行っており、多分野で「グラミン・ファミリー」と呼ばれる事業を展開している。世界的に有名になったのは2006年ムハマド・ユヌスと共にノーベル平和賞を受賞してからだ。その銀行が今米国で事業を展開しているというタイム誌の記事が目にとまった。

「米国でマイクロファイナンスは成り立つのか?」("Can Microfinance Make It in America?" by Barbara Kiviat, p.24-25, TIME Asia issued on January 18.2010)

グラミンは途上国で零細事業に貸し付けている。金融がひっ迫する中、今こそ米国の「無銀行地域」に進出するときだ。しかし、マネーがすべてではない。

Grameen makes loans to tiny businesses in the developing world. With credit tight, now seems like the right time to reach "unbanked" in the U.S. But money isn't everything.

【両極端の国】

米国のマイクロファイナンス
この記事を書いたBarbara記者の視点は、僕の疑問とぴったり一致した。それは、世界の最貧国のひとつ、バングラデシュの貧困層を対象にした銀行が、果たして世界で最も富裕な国アメリカで商売が成り立つのだろうかという疑問だ。

The question, then, is whether there is a role for a Third World lender in the world's largest economy.

しかし、今のところ、グラミン銀行はうまくやっているようなのだ。一体、何が成功の要因なのか。

ひとつは、米国は貧富の差が激しく、しかも貧困層の多くは移民であり、10万近くある米国の金融機関の顧客対象から外れている人たちがグラミンにとって「優良顧客」になることだ。その数、実に9百万世帯、プラス質屋や日銭の高利貸しに頼っている人たちは21百万人にも及ぶ。

もうひとつは、グラミンの仕組みの根幹をなす数人の互助グループに貸し付けてその信頼関係で返済を担保するというやり方と、零細事業を営む女性たちが貸付の対象だということだ。アメリカには大都市を中心に中南米やアフリカなど途上国から移民してきて、リヤカーで野菜を売ったりしている女性の零細事業者がたくさんいる。その女性たちは固い絆と相互扶助の精神にあふれているのだ。

さらに、グラミン銀行のやり方を熟知したスタッフがニューヨーク、オマハに支店を出し、顧客開拓を上手に行っていることも見逃せない。ラテンアメリカの大手マイクロファイナンス事業者Accionは、90年代に米国に足場を築いたが自前の展開ではなくパートナーの金融機関との連携などで事業を拡大したものの、未だに利益が出る体質にまでは成長していない。

最後に、高い金利が利益をもたらすと見られることだ。高いといってもその金利は15%程度であり、100?200%の貧困層向けの高利貸しが横行するバングラデシュとは比較できないまでも、リスクの高い貧困層向けの金利としては零細事業者の借り手にとってはリーズナブルと言えるだろう。グラミン銀行もビジネスでやる限り、慈善事業ではなく利益を出して事業を存続されていくことが求められるのだ。

【お金より大事なもの】

しかし、グラミン銀行の進出がアメリカの貧しい女性の零細事業者にもたらそうとしている恩恵はお金だけではない。

グラミン銀行の発祥の地バングラデシュでは、グループで貸付を受けた貧しい女性事業者たちがお互い助け合い、生活の質の向上を目指すような様々な工夫が銀行の融資システムに組み込まれている。

アメリカでも、同じようにグループへの貸付というシステムを通じて、女性事業者同士がお互い事業について語り、返済できるよう助け合うシーンが見られるようになっているという。無機質なお金を媒体として、弱い者同士が助け合うことに貢献できるとしたら、これは本当の金融業のモデルだろう。

米国も日本も大いに見習うべきだと思うがどうだろうか。

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253便の教訓―テロは防げるか?(2)
【タイム誌への投稿】


1月11日発行のアジア版タイム誌の記事「253便の教訓」について、投稿しましたので公開します。

Below is my comment on the article of “The Lessons of Flight 253”, page 16-20, TIME issued on January 11,2010.

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The start of A Happy New Year became an ominous and uneasy one not only for American passengers but also for others of different nationalities because of only one young bomber on Flight 253. This kind of terrorist attempt reminds me of proliferating cancer cells in a human body. How strong our immune cells become, we can’t prevent those cancer cells from proliferating further permanently because they are also parts of our body, even if they are considered to be evil.

As for eliminating terrorists from international flights, more advanced airport technology could help a lot. However, as long as any ordinary person could become a terrorist someday like a cancer cell, there is and will be no panacea for perfect safety.


【拙訳】

新年のスタートは、253便のたったひとりの若い爆弾犯のために、アメリカ人の乗客ばかりでなく他の国籍の人たちまでも不吉で不安なものにしてしまった。この種のテロリストの企ては、私に体の中に増殖するガン細胞を思い出させた。どんなに免疫細胞が強くても、悪いものではあってもガン細胞が身体の一部であるかぎり、さらなる増殖を防ぐことはできないのだ。

テロリストを国際路線から排除することについては、もっと進歩した航空技術が役に立つかもしれない。しかしながら、ごく普通の人がまるでガン細胞のようにいつの日かテロリストになる状況においては、完全な安全に対する万能薬は今も、そしてこれからもないだろう。


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253便の恐怖―テロは防げるか?(1)
【テロの恐怖】

昨年末の米ノースウエスト機の爆破未遂事件は、オバマ大統領にとっては強烈な一撃だったようです。

『デトロイトで米ノースウエスト航空(NWA)機の爆破未遂事件が起きたことを受け、ハワイで静養中のオバマ米大統領は25日、航空機の安全確保に「可能なすべての手段」を取るよう治安当局に指示した。事件をめぐる詳しい状況は不明だが、クリスマスを襲ったテロの恐怖は、8年前に米中枢同時テロを経験した米国社会に衝撃を与えた。

 アムステルダムからの乗客を乗せたNWA253便は、同日昼(日本時間26日未明)、デトロイト空港に着陸した。乗客が機内で発火物に点火したとの連絡を受け、空港構内には警察車両などが殺到した。

 乗客らは米メディアに対し、「煙が上がり、何かが燃えるにおいがした」と証言。男は近くに乗り合わせた若い乗客により取り押さえられたという。

 事件で問題となるのは、アムステルダム空港での保安検査態勢だ。火薬類は花火でも機内持ち込みは厳禁。爆発物として利用される恐れがあるとして、液体の機内持ち込みも国際的に規制されているが、今回の男は、それをくぐり抜けたことになる。

 2001年9月11日の同時テロ以降、米国内で大きなテロ事件は起きていない。しかし、時間の経過とともに、対策がおろそかになっているのではないかという指摘もあり、今後オバマ政権への注文が厳しくなるのは必至だ。』(2009年12月26日付産経新聞)


【4つの教訓】

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この爆破未遂事件が米国にとって如何に衝撃的だったかは、年が明けてからも米メディアを中心に連日報道されていることからもわかります。1月11日号アジア版タイム誌のカバーストーリーも「飛ぶ恐怖」("Fear of Flying")というタイトルで取り上げています。そして、「テロとの闘いは未だ終わってはないのだ。未だ広がり続けているのだ。さらなる攻撃を防ぐために、我々が知っておくべき教訓が4つある」として4つの教訓を挙げています。

1.テロリストを捕捉する手段が機能していないこと。

2.空港での警備体制は破られる可能性があること。

3.オサマ・ビン・ラディンよりアルカイダのほうが大きいこと。

4.テロの脅威をみくびっていけないこと。


この4つの教訓などメディアから指摘されるまでもなく、米国政府は9/11以来あらゆる手段を講じてテロリストの攻撃から自国民を守ってきたと「過信」していたのかもしれません。しかし、今回、23歳の若者のたったひとりのテロさえ未然に止めることが出来なかったのです。

テロリストとがん細胞】

今回の事件で捕まったナイジェリアの23歳の若者を見ていて、僕は人間のガン細胞を思い浮かべました。

テロリスト
ガン細胞は正常細胞が突然変異を起こして人間の体を急速に蝕んでいきますが、だからといってガン細胞を徹底的に破壊したら人間の身体が元に戻るかというとそう単純ではありません。だからこそ未だガンは克服できていないのです。何かのきっかけで正常細胞がガン細胞になってしまうように、ごく普通の青年が「何かのきっかけ」で思想が変わりテロリストとなってしまうとしたら、どんなに精緻なテロリストのデータを整備して、どんなに厳重な警備システムを導入したところで何十億人もの人間をすべて捕捉することなどできないでしょう。

テロリストとガン細胞。私たち人間は、この「問題」に対して何か新たな発想やドラステックな転換を図らなければ、完全な解決にはまだまだ時間がかかるのではないでしょうか。

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