TIME誌で知る世界の時事ニュース
「TIME誌で知る世界の時事ニュース」は週に一度は世界的な週間雑誌TIME誌を題材にした記事を博多っ子の独自の視点で解説・提供するニュース発信ブログです。TIME誌へ投稿もします。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ケニアの銀行革命―新しい銀行のカタチ
【ケータイが変える】

110131Kenya's banking
ケニアで新しい銀行のカタチが広まりつつあるのをご存じですか?写真をご覧ください。そこでは屋台のような窓口で、店員とお客がケータイで何やら取引しています。これって銀行?

1月31日号アジア版タイム誌「ケニアの銀行革命」("Kenya's Banking Revolution" by Alex Perry and Nick Wadhams, p.45-46, Global Business, TIME magazine on Jan.31,2011)という記事に革命的な変化がケニアのファイナンスシーンに起きているという記事がありました。

【簡易店舗にケータイだけ】

日本ではすでに「お財布ケータイ」といった呼称でモバイルバンキングが普及しつつありますが、まだまだ若い世代や一部のケータイを使いこなしている利用者を除いて高齢者や低所得者などには広まっていないのではないでしょうか。

ところがもともと電話設備のインフラや銀行店舗などが限られていたケニアなどのアフリカ諸国で、近年爆発的に携帯電話が一般庶民にまで普及するのに歩調を合わせて、新しい銀行ビジネスが旧来の銀行業界ではないところから出現、広まっているのです。

M-Pesa

その名はサファリコム(Safaricom)。1997年にケニアの携帯電話会社が設立した「銀行」です。仕組みは簡単。今では大衆に広まったケータイを使って、テキストメッセージで顧客から受け取ったキャッシュを僅かな手数料で送金する。その名はM-Pesa。MはモバイルのM、Pesaはスワヒリ語でお金の意味だそうです。当たり前の為替システムの原型ですが、簡易な店舗とケータイだけで出来るので設備投資がほとんどかからないこと、顧客の数は急速に増えていることでリーマンショックもものともせず爆発的に利益をあげているのです。

Mobile banking has been available for years in Japan and elsewhere, but only on a limited basis. M-Pesa's growth has nonetheless been extraodinary. Of Safaricom's 16 million customers, 12 million have M-Pesa accounts - this in a nation of 39 million people.

【もうひとつの革命】

Safaricom
ソーシャルネットワーキングのフェイスブック(Facebook)の利用者が世界中で5億人とか6億人となり、チュニジアの政変を誘発したり、エジプトの民衆蜂起の道具に使われたりと世界中にインターネットを通して物凄い変化が起きていますが、ケータイもアフリカでは10年ほど前のゼロに近かったころから現在は5億人以上が所有していると言われています。ケータイもインターネット同様、電話のインフラがなかった途上国で急速に普及することで、先進国以上の革命的変化が起きているのです。

それが経済にもたらす恩恵も半端ではありません。世界銀行と会計コンサルタントのDeloitteによると、途上国で100人に10台ケータイが追加普及すると、GDPが0.6%から1.2%上昇するそうです。

The World Bank and the consultancy Deloitte found that for every additional 10 mobile phones per 100 people in a developing country, GDP rose 0.6% to 1.2%.

従来型の銀行がほとんど存在しなかったケニアに出現したサファリコムのように新しい「銀行」システムが既存の銀行を呑み込む日がそう遠くない将来に来るのかもしれませんね。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking
スポンサーサイト

テーマ:アフリカ - ジャンル:海外情報

スイスの小都市Zugに群がる商品取引業者の怪
【スイスの小都市Zug?】

Zug
みなさんはZug(日本語表記では「ツーク」、英語の発音は"Tsoogk")というスイスの町をご存知ですか?この町はチューリッヒの南にある人口25千人の小さな湖畔の町で、スイス21州のうち最少の州(人口115千人)に位置します。昔は酪農しかなかったこの町に今世界の商品取引業者が軒を連ねてるというのです。一体なぜ?

その疑問に答える記事が1月10日付のタイム誌に掲載されています。

「ツークの秘密」("The Secrets Of Zug" by Vivienne Walt, p.40-41, Global Business, TIME issued on Jan.10,2011)

【世界有数のタックスヘブン

写真に写っているのはコンピューターサーバーではありません。Zugの町にある郵便局の無数の私書箱(P.O.Box)の巨大なケースです。

P.O.Box in Zug
勘のいい方はすでにおわかりでしょう。これがZugに商品取引業者が集まっている理由のヒントです。そう、ここは世界中に点在するタックスヘブン(税金天国)のひとつとして世界中の食糧・天然資源の取引業者が本社として登録しているのです。
世界の主要なタックスヘブンのうち、スイスは約20兆ドル(1700兆円)を集める世界最大のタックスヘブンであり、その多くがこの小さな町Zugに源があるのです。(参考: 世界のタックスヘブンの規模を示すチャート)

Zugには現在、世界有数の穀物、希少金属、石油等の天然資源を扱う商品取引業者が多数本社登録をしています。例えば、Biogen、Glencore、Transoceanといった会社です。といっても彼らは本社の住所をZugの私書箱としているだけ。

【税を巡る攻防】

そもそもこのZugに商品取引業者が多く集積した理由は、1940年代後半にZug市に登録する企業はスイスで発生した所得に対する税金のみ支払えばよいとした法律が施行されたことにあります。それはスイス以外の国で穀物や天然資源を売買し、スイス国外でほとんどの利益を得る商品取引業者にとって、ほとんどZugでは税金がかからないことを意味します。

That law, still in effect, allows Zug-registered companies to pay taxes only on income generated in Switzerland-precious little, for many of them. Zug's tax system seems tailor-made for trading companies, which buy vast quantities of oil, gas and minerals and then sell them to customers around the world, profiting on the margin those trades generate.

そもそもアメリカ国籍の商品取引業者は、米国政府がカリブ海のタックスヘブンに対する規制を強化したことや、Zugでは納税記録がスイス政府にさえ機密にされているというメリットもあることから、Zugに本社を移すキッカケになっているのですが、米国だけでなくEUなどもタックスヘブンへの規制強化を図ろうとしているため、これからますます世界の商品取引業者と各国の税当局との熾烈な攻防は続くでしょう。

いくら利益の極大化が企業の至上命題とはいえ、巨大企業だけが稼いだ利益の税金を払わないでいいような仕組みは到底正当化できないのではないでしょうか。一円たりとも納税を誤魔化せないサラリーマンからすれば怒りばかりがこみあげてきます。あなたはどう思われますか?

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:ヨーロッパ - ジャンル:海外情報

急ピッチで進む鉄道建設―中国の躍進
【進む鉄道建設】

リニアモーターカー
上海浦東国際空港と上海の中心部を結ぶ約30キロを7分間で走るリニアモーターカーはなんと時速430キロで走るということで、上海観光のひとつの目玉になっています。僕は3月に上海を訪れたときにはそのリニアカーに乗るチャンスはなかったのですが、上海に限らず今中国では主要都市を結ぶ鉄道網の構築計画が着々と進んでいるという記事が8月16日号のアジア版タイム誌に掲載されています。

「成長のエンジン」("Engines of Growth" by Austing Ramzy, p.34-36, TIME magazine)

【広がる鉄道網】

中国の鉄道
2008年のリーマンショック以降も、欧州や米国、日本などの景気低迷を尻目に成長を続けている中国。その重要な部分はインフラ整備に関わる投資なのですが、中でも鉄道網の整備計画とその進捗状況には目を見張るものがあるようです。

例えば列車の平均速度。1993年には時速48キロだったのが、2007年には70キロまで伸びています。中でも武漢と広州間は時速313キロで走り、10.5時間かかっていたのが今では3時間で行き来できるのです。

中国政府の計画では、鉄道建設投資に2009年の880億ドルから今年は1200億ドル、そして今後10年間で7000億ドル以上が投下される予定だそうです。特に高速鉄道網については、現在の6552キロを2年間で倍にするという野心的な計画を立てています。これが実現すると中国の鉄道網は主要国の中では飛びぬけて競争力のあるものになるでしょう。

【狙いとリスク】

その狙いは、中国国内の西部地域の長期的な経済発展を促すためだと言われています。国内の鉄道網が整備されれば人とモノの流れが円滑になり、特に高速鉄道が伸びることで国内経済のコストの削減、効率化が進むからです。

しかし、リスクもあります。依然として中国の人口の半分は地方に住んでおり、都市との所得格差も大きく、高いチケット代金を払って高速鉄道を利用することは出来ない人々も多いのです。所得の低い人たちにとっては高速鉄道よりももっと安い鉄道の整備を優先させるべきとの意見も多いのです。

鉄道はCO2の排出も少なく、地球温暖化防止にも役に立つわけですから、中国の野心的な鉄道整備計画は世界全体としても望ましいことだと思います。したがって、中国の鉄道網整備は、CO2の排出がアメリカに次いで多いといわれる中国の環境政策面での優位性を高めるひとつの武器となることでしょう。

現在は鉄道網が世界で最も発達していると言われる日本も、うかうかしていられませんね。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:中国 - ジャンル:海外情報

現代に生きるアーミッシュの成功法則
【アーミッシュの失敗率】

Armish Buggy
みなさんはアーミッシュをご存知ですか。彼らは米国のペンシルバニア州やオハイオ州などに住むドイツ系アメリカ人で、キリスト教と共同体に忠実に生きるために厳格な戒律を守り、車や電気などの現代人の利便性に背を向けて生活している集団です。

刑事ジョン・ブック
僕がこの集団のことを知ったのは、ハリソン・フォードが主演した1985年のアメリカ映画『刑事ジョン・ブック/目撃者』でした。喪服のような黒い質素な服を着て、交通手段は馬車で移動する人たちの質素な生活ぶりはその映画の中で忠実に再現されていました。その後米国に駐在していたときに、ペンシルバニア州ランカスターの町に遊びに行ったときに実際にその生活ぶりを見ることもできました。

そのアーミッシュの商売における失敗率が他のアメリカ人よりも低いという調査結果が発表され注目されているという記事がタイム誌に載っていました。("Management, Plain and Simple." p.43, TIME magazine issued on April 19, 2010) 馬車に乗って生活しているような人たちがこの気ぜわしい現代のマーケットでどうやってうまくやっているのか、素朴な疑問がわいてきます。

【失敗しない商売の秘訣】

Success Made Simple
それは商売を始めてから最初の5年間での失敗の確率というもので、通常の米国人は約50%なのに対し、アーミッシュは10%以下だというのです。どこに秘訣があるのか、それをEric Wesnerと言う人が3年間アーミッシュと生活して調査した結果を「"Success Made Simple: An Inside Look at Why Amish Businesses Trive."」という本にまとめています。

その本によれば、失敗しない商売の秘訣はアーミッシュの簡素な生活様式と同じく、シンプルな経営者と従業員の関係にあるといいます。

典型的な例は、経営者が常に従業員ととも働くということ。「自分がしないことを従業員にはさせない」というのがアーミッシュの経営者のモットーなのだそうです。そうすることで従業員は経営者を信頼してよく働くというのです。

もうひとつは厳しい仕事に対する倫理観(A rigorous work ethic)。アーミッシュには、どんなに単純な作業でも厭わずにやりとげることが求められています。

そして、最後にアーミッシュが自分たちの居住エリア以外の大学などでも堅実な商売を広げていることにもその成功の秘訣があるようです。

アーミッシュの会社は家族経営的なものが多く、フォーチュン誌500企業の中に入るような企業はありませんがその商売のやり方には効率ばかりを追い求めるMBA流の現代的なマネジメント手法が忘れている商売の真髄みたいなものがあるのではないでしょうか。なんだか教えられますね。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:海外情報

マイクロ金融は米国で成り立つか?-(2)
【タイム誌へ投稿】

1月18日号のタイム・アジアの記事「マイクロファイナンスはアメリカで成り立つか」に投稿しましたので公表します。

マイクロファイナンス
Below is my comment on the article of“Can Microfinance Make It in America?”, page 24-25, TIME Asia issued on January 18, 2010

Your article on the Grameen bank in the U.S. gave me a fresh surprise of the unique relationship between a lender born in Bangladesh, the world’ poorest country and borrowers in the U.S., the world’s richest country. If Grameen’s way of microfinance prevails in the U.S., I feel a foreboding that the new era would come soon when more and more developing countries help the developed ones by their cooperative spirits and minds. Yes, money isn’t everything.

【拙訳】

米国で展開するグラミン銀行に関する貴記事を見て、世界で最も貧しい国、バングラデシュで生まれた貸し手と、世界で最も金持ちの国、アメリカの借り手の間のユニークな関係について新鮮な驚きを感じました。

もしもマイクロファイナンスというグラミンのやり方が米国でうまくいくならば、もっともっと多くの発展途上国が助け合いの精神で先進国を助ける時代がいづれやってくるという予感がします。そう、マネーがすべてではないのです。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:海外情報

マイクロ金融は米国で成り立つか?
グラミン銀行とムハマド・ユヌス】

ユヌス氏
みなさんはグラミン銀行をご存じだろうか?それはバングラデシュにある銀行で、大学教授ムハマド・ユヌス氏が1983年に創設した(今はグラミン銀行総裁)。この銀行は、マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした比較的低金利の無担保融資を主に農村部で行っており、多分野で「グラミン・ファミリー」と呼ばれる事業を展開している。世界的に有名になったのは2006年ムハマド・ユヌスと共にノーベル平和賞を受賞してからだ。その銀行が今米国で事業を展開しているというタイム誌の記事が目にとまった。

「米国でマイクロファイナンスは成り立つのか?」("Can Microfinance Make It in America?" by Barbara Kiviat, p.24-25, TIME Asia issued on January 18.2010)

グラミンは途上国で零細事業に貸し付けている。金融がひっ迫する中、今こそ米国の「無銀行地域」に進出するときだ。しかし、マネーがすべてではない。

Grameen makes loans to tiny businesses in the developing world. With credit tight, now seems like the right time to reach "unbanked" in the U.S. But money isn't everything.

【両極端の国】

米国のマイクロファイナンス
この記事を書いたBarbara記者の視点は、僕の疑問とぴったり一致した。それは、世界の最貧国のひとつ、バングラデシュの貧困層を対象にした銀行が、果たして世界で最も富裕な国アメリカで商売が成り立つのだろうかという疑問だ。

The question, then, is whether there is a role for a Third World lender in the world's largest economy.

しかし、今のところ、グラミン銀行はうまくやっているようなのだ。一体、何が成功の要因なのか。

ひとつは、米国は貧富の差が激しく、しかも貧困層の多くは移民であり、10万近くある米国の金融機関の顧客対象から外れている人たちがグラミンにとって「優良顧客」になることだ。その数、実に9百万世帯、プラス質屋や日銭の高利貸しに頼っている人たちは21百万人にも及ぶ。

もうひとつは、グラミンの仕組みの根幹をなす数人の互助グループに貸し付けてその信頼関係で返済を担保するというやり方と、零細事業を営む女性たちが貸付の対象だということだ。アメリカには大都市を中心に中南米やアフリカなど途上国から移民してきて、リヤカーで野菜を売ったりしている女性の零細事業者がたくさんいる。その女性たちは固い絆と相互扶助の精神にあふれているのだ。

さらに、グラミン銀行のやり方を熟知したスタッフがニューヨーク、オマハに支店を出し、顧客開拓を上手に行っていることも見逃せない。ラテンアメリカの大手マイクロファイナンス事業者Accionは、90年代に米国に足場を築いたが自前の展開ではなくパートナーの金融機関との連携などで事業を拡大したものの、未だに利益が出る体質にまでは成長していない。

最後に、高い金利が利益をもたらすと見られることだ。高いといってもその金利は15%程度であり、100?200%の貧困層向けの高利貸しが横行するバングラデシュとは比較できないまでも、リスクの高い貧困層向けの金利としては零細事業者の借り手にとってはリーズナブルと言えるだろう。グラミン銀行もビジネスでやる限り、慈善事業ではなく利益を出して事業を存続されていくことが求められるのだ。

【お金より大事なもの】

しかし、グラミン銀行の進出がアメリカの貧しい女性の零細事業者にもたらそうとしている恩恵はお金だけではない。

グラミン銀行の発祥の地バングラデシュでは、グループで貸付を受けた貧しい女性事業者たちがお互い助け合い、生活の質の向上を目指すような様々な工夫が銀行の融資システムに組み込まれている。

アメリカでも、同じようにグループへの貸付というシステムを通じて、女性事業者同士がお互い事業について語り、返済できるよう助け合うシーンが見られるようになっているという。無機質なお金を媒体として、弱い者同士が助け合うことに貢献できるとしたら、これは本当の金融業のモデルだろう。

米国も日本も大いに見習うべきだと思うがどうだろうか。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:海外情報

中国優位?ー電気自動車戦争
【これからの車】

地球温暖化の影響を極力抑えるために有効な手立てとして、今ガソリン車に代わって電気自動車(EV)がいよいよ実用車として世界中で脚光を浴びつつあります。そんな中、自動車メーカーにとっては、この大不況の中での最後の切り札としてEVの開発・販売が至上命題となってきています。

中国車
8月31日号アジア版タイム誌「中国のパワープレイ」("China's Power Play")というタイトルで、EV市場での中国企業の野望が取り上げられています。

China' Power Play --- The market for electric cars is about to get bigger - and Beijing wants Chinese firms ready to cash in

【弱点が強みに】

日本では現在トヨタやホンダがハイブリッド車で先行していますが、いづれ車の主流はEV車になっていくというのが大方の見方ではないでしょうか。EV車といえば、日本車では三菱自動車の「i-MiEV」や日産の「リーフ」などがすでに参入していますし、米国車ではGMが「Volt」を発表しました。

Coda
しかし、タイム誌が注目しているのは、中国電気自動車です。昨年12月に中国で発売されたBYD社のハイブリッド車「F3DM」に続き、この6月には米中合弁でCodaというEV車がデビュー、来年にはカリフォルニア州で販売される予定です。価格は45000ドル(4.2百万円)、1回の充電で145-193キロを走ります。これだけでも欧米や日本のクルマにも引けをとらない性能と価格競争力を持っていると言えます。

では何故、中国がそれほどEV車を国を挙げて推進しようとしているのか。それは、先ずEV車は比較的新しい技術であり、技術や販売などあらゆるフィールドで長い歴史をもつ欧米や日本の自動車メーカーに比べると歴史の浅い中国の自動車メーカーが優位に立てる可能性があるからです。まさに電話インフラのなかった途上国で携帯電話が急速に普及したのと同じように、弱みが強みとなりえるからです。

また、不況で買い控えが広がっていて、しかもガソリン車の魅力を知り尽くしている欧米などの消費者に比べると、依然として景気もよく、自動車の売れ行きもいい中国の国内マーケットが控えていることも強みとなっています。さらには、EV車に積極的に取り組むことで、CO2排出削減を世界にアピールすることにもなります。

【解決すべき課題】

ただし、課題もあります。先ずは価格。45000ドルではまだまだ中国国内ではガソリン車の価格に対抗して消費者に買ってもらうには高いといわざるをえないでしょう。また、中国では自動車を取り巻くインフラはまだまだ発展途上であり、標準的な家庭でもEV車の充電が手軽に出来るとは限りません。

それでも、米国などと連携して自動車市場を戦い抜いてゆくには、最良の選択肢であることは間違いないでしょう。日本のメーカーもうかうかしてはいられないのではないでしょうか。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:中国 - ジャンル:海外情報

欧州の鉄道ルネサンス?変わる旅のかたち
【飛行機との競合】

今から数十年前、まだ統一通貨ユーロもなく、鉄道で旅をし国境近くに来ると車掌が各車両に周ってきてマルクをリラに換えたり、スイスフランをポンドに換えたりしていました。お金はなくても時間はたっぷりある海外からやってくる学生たちは、ユーレイルパスという欧州どこでも乗れる旅行者用のパスで、時刻表を片手にのんびり鉄道を旅するのが最高の贅沢でした。僕も大学時代に欧州に行ったときは、飛行機ではなく、鉄道の旅を選んだのはそのためです。

しかし、12年前に欧州で実施されたエアラインの規制緩和で、場所によっては航空運賃が鉄道よりも安くなり、飛行機を利用して旅行をする機会が飛躍的に増えていました。必然的に鉄道は脇役となっていたのです。

それが今、大きく変わりつつあるという知らせがタイム誌から舞い込んで来ました。

鉄道ルネサンス】

Eurostar
6月8日号タイム誌の記事「鉄道に取り組む」("Working on the Railroad" by TIME dated on June 8, 2009)によれば、欧州では長い間航空機に乗客を奪われていた鉄道が、今規制緩和によってより速く、より安いサービスで息を吹き返していると伝えています。

Working on the Railroad. Train travel in Europe has been losing passengers to airlines, but deregulation is about to usher in an era of faster ,cheaper rail service

非効率の象徴だった国営鉄道に代わって、今脚光を浴びつつある鉄道ルネッサンスの国は、スペイン、イタリア、そしてフランス。 スペインのAVE(Alta Velocidad Espanola)、イタリアのNTV(Nuovo Traporto Viaggiatori)、フランスのSNCF(Societe Nationale des Chemins de Fer Francais)など最新鋭の高速鉄道による比較的短距離の国境を跨ぐ鉄道路線は、航空機を凌ぐ売り上げでマーケットシェアを奪い返しているのです。

Eurostar
EU9ヶ国の高速鉄道は、現在の5千キロから10年後には三倍の15千キロにまで伸びると言われています。これほどの革命的変化をもたらしているのが、昨年の12月に始まった欧州域内の鉄道路線の自由化です。

The most radical change arrives this December, when European Union regulations will for the first time allow all the rail operatiors to compete with one another for passengers on international route.

【環境に優しい鉄道への回帰】

アメリカでもオバマ大統領のグリーンニューディールによって、CO2排出の少ない大量輸送の担い手として鉄道網の見直し計画が進められています。GMやクライスラーといった米国大手自動車メーカーの相次ぐ破綻によって21世紀の交通の担い手は従来の石油を燃料とするクルマからハイブリッド、そして電気へと主役が交代することが明白となりました。それとともに、大量輸送の担い手も鉄道への回帰、そして鉄道ルネサンスのうねりが始まろうとしています。

明治時代から、狭い国土に欧米の技術による鉄道を貪欲そして愚直に取り入れて、今では世界一の鉄道網と高速で安全なシステムを作り上げた日本。これから世界をリードする素地は十分にあります。

JRや私鉄各社はこの機会を最大限に活用して、欧米の鉄道ルネサンスをサポートし、低炭素社会実現に後ろ向きな産業界に活を入れてほしいものです。
それにしても、これからは欧州旅行の楽しみがまたひとつ増えそうですね。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking


テーマ:ヨーロッパ - ジャンル:海外情報

ビッグスリーの苦悩?次世代車にも難問?
【難局続くビッグスリー

GM
年末は米政府からのつなぎ融資で急場をしのいだものの、ビッグスリー三社(GM、クライスラー、フォード)の 1月の新車販売台数はそれぞれ49パーセント、55パーセント、39パーセント減少と大幅な落ち込みが続いている。優等生だったトヨタ自動車でさえ、1月の米国販売が同32%減と苦戦しているくらいだから今や「泥舟」とさえ揶揄されているビッグスリーにとっては未だ明るさは見えてきそうにない。

そんな中、ビッグスリーは必死で自社の車への消費者の回帰を目指すべくハイブリッド車電気自動車の開発を行っているようだが、そこにまたひとつ難題が立ちはだかっているとの記事が目に留まった。

【リチウム電池の原料国】

ボリビア
それは2月2日付アジア版タイム誌に掲載されている「パワープレイ」("Power Play" by Jean Friedman-Rudovsky, page 33, TIME dated February 2, 2009)だ。

この記事のサブタイトルには、「自動車メーカーは、バッテリーで走る次世代のクルマのリチウムを必要としている。それはボリビアと交渉することを意味する。」とある。一体どういうことなのだろうか。

Automakers need lithium for the next generation of battery-driven cars. That will mean talking to Bolivia

Evo Morales
そう、南米の貧しい国ボリビアには豊富なリチウム原料があって、その生産量は世界全体の半分近くにも及んでおり、このリチウム大国は「リチウムのサウジアラビア」(Saudi Arabia of lithium)と呼ばれているのだ。

しかし、ビッグスリー、そしてアメリカにとって厄介なのは、そのボリビアの大統領Evo Morales氏は、左派系でアメリカを嫌っていると言うこと、さらにはリチウムをはじめとする自国の天然資源の国家管理を望んでいると言うのだ。

【共生に向けた努力】

リチウムイオンカー
ボリビアが望んでいるのは、リチウムの採掘からバッテリーの製造までを一貫して行うリチウム・イオン・バッテリーの国営企業の育成なのだ。

What Bolivia is after is a largely, if not purely, state-run lithium industry from mining to manufacturing-including, the government hopes, a plant to manufacture lithuim-ion batteries.

そのため、ボリビア政府は今まで、安いリチウム原料だけを狙ってくる三菱トヨタなどの海外の自動車メーカーも追い返しているという状況なのだ。

しかし、どんな産業も需要サイドと供給サイドがgive and take の関係で製品やサービスを安定的に提供していけなければ成り立たない。ボリビア政府もそこのところはわかっているようなので、これから地球温暖化防止のひとつの手段としても重要性を増してくる次世代カーの燃料の原料となるリチウムを巡っては、ボリビアとビッグスリー、そして他の自動車メーカーもお互いが共生していくための戦略を描いて前進していく必要があるだろう。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:ボリビア - ジャンル:海外情報

過去最悪の年末商戦??米国
【冷え込む米国消費者心理

米国の消費者心理の冷え込みが一段と目立ち始めたようだ。

米国のスーパー
『米国の年末商戦が「感謝祭」明けの28日、本格的にスタートした。

 米小売業界は年間売上高の約4割をこの商戦で稼いでいるが、金融危機の影響で消費者心理は一段と冷え込んでおり、厳しい商戦が予想される。

 ニューヨーク中心部にある大手百貨店メーシーズの店舗では、早朝午前5時の開店と同時に大勢の客が訪れ、40%引きの衣料品や均一価格のアクセサリーなどが人気を集めた。

 米国では、感謝祭翌日の金曜日は「ブラック・フライデー」と呼ばれる。年末商戦が本格化するこの日を境に、業績が「黒字」に転じる企業が多いためだ。今年は、27日にセールを始めた格安量販店のKマートのように、1日早く商戦に入る店も目立った。』(11月30日付読売新聞)


【クレジットのない消費】

081103TIMECover
年末商戦だけではない。9月15日のリーマン・ブラザーズ破綻から二ヶ月半近く。最悪の金融危機は脱しつつあるが、米国の実体経済に深刻が影響が出始めているのだ。

11月3日付のタイム誌の表紙は米国旗を掲げた何の飾りつけもない舟が大海原に浮かぶ絵を掲載していた。名づけて、 「借金の海」("The Sea of Debt")。米国経済の病状は重く、回復の道のりは遠いと記されている。 (記事名「クレジットのない生活」("Life Without Credit", TIME dated on November 3, 2008))
A Sea of Debt ---- The U.S.economy is sick. And don't expect it to recover anytime soon.

タイム誌が説くように、過去20年間にわたってウォール街も米国の消費者も、1ドルの手持ち現金を10倍にも20倍にも増やすことが出来る「てこの原理」、すなわちレバレッジという錬金術を使って、世界中から欲しいものを手に入れてきたのだ。ウォール街ではそれは証券化手法であり、消費者にとってはそれは住宅や自分の資産を担保にしたクレジットだったのだ。

Leverage was the mother's milk of Wall Street - and of the Main Street - for the past 20 years.

そして、レバレッジを最も利かせて金儲けをしていたリーマン・ブラザーズが破綻し、今までのやり方は通用しなくなった。その結果として、今米国の多くの消費者はクレジット、借金なしでやり繰りすることを強いられているのだ。

【デイレバレッジの世界】

リーマンブラザーズ本社
レバレッジが利かない米国経済(the great deleveraging of America)が生気を取り戻すには、まだしばらくの時間がかかるだろう。何故なら、借金をし続けていたアメリカの消費者は当面生活防衛のために貯蓄に励み、消費を抑えざるを得ないからだ。タイム誌が言うように再び彼らが「経済を回復させるには、お金を回す必要がある」と感じるまでには少々時間がかかりそうなのだ。

米国の消費者頼みだった国々?中国もアジア各国も欧州も、そして日本だってその中に含まれるのだが?はその影響を免れないだろう。そう覚悟を決めて、輸出や米国頼みではなく、これをチャンスと捉えて自国の内需、自由な貿易体制の維持のためにじっくりと腰を据えて取り組んでいくしかないと思うがどうだろうか。

★最後まで読んでくれてありがとう。いい記事だと思われたら、ポチッとひと押しお願いします。
FC2 Blog Ranking

テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:海外情報

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。