TIME誌で知る世界の時事ニュース
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「英国王のスピーチ」に想うこと
【吃音に悩む王】
110228英国王のスピーチ
アカデミー賞受賞最有力と見られている映画を観てきました。 英国王のスピーチ("The King's Speech")」です。確かに前評判通り、吃音に悩む英国王ジョージ?世を演じる英国の名優コリン・ファースの渋い演技が光る英国らしい映画でした。そして国王を頂点とする英国同様、象徴天皇の国ニッポンの国民である僕にとってもいろいろと考えさせられる映画でした。

【階層社会の王と平民】

映画の舞台は英国王室。第二次大戦前夜の緊迫した情勢の中、不本意にも突然の王位継承という運命を背負った英国王ジョージ6世が、内向的な性格のゆえに吃音に悩んでいたのですが、妻エリザベスの助けを借りて言語障害の専門医ライオン・ローグを雇い吃音の克服に挑戦、苦闘の末に国民にドイツとの戦争を告げるスピーチをやり遂げ、立派な国王となっていくというストーリーです。

国王の吃音は生まれつきではなく幼少期の体験から来る後天的なものということを見抜く言語聴覚士のオーストラリア人ライオン・ローグを、最初は田舎者の平民と罵倒することもあった国王も次第にその粘り強い治療に心を開くようになり、国王と平民というクラス社会の壁を乗り越え、固い友情の絆で吃音を克服していくプロセスは、これが実話であることも相まって観る者に静かな感動を呼び起こします。

【名優の演技と英語】

それにしても国王役のコリン・ファースの吃音の演技やそのクイーンズイングリッシュの素晴らしさ。 タイム誌の記事("Enter the King" by Catherine Mayer, p.44-45, Culture, TIME issued on Feb.28, 2011)によれば彼はイギリス生まれではあるものの、教師であった両親がインドで育ち、家族はアフリカに移住、その後英国に戻ってきて再びアメリカミズーリに行くなど、英国生まれ・英国育ちとはちょっと違いどちらかというと言葉では苦労した「ある意味、本物のイギリス人」(so-called quintesential Englishman)だそうです。だからこそ、今回の英国王の役回りがピタッとはまったのかもしれません。

そして舞台となっている英国王室。もう日本人である僕たちはイギリスびいきが多いと言われていますが、そのクイーンズ・イングリッシュの響きの良さについつい惹かれてしまいます。多くの日本女性が英国に憧れるのもわかるような気がします。

【英王室と天皇家】

最後にこの映画を観て感じたことがあります。それは同じ時代の運命に翻弄されたふたつの国のロイヤルファミリィの対照的なスピーチが思い浮かんだということです。

110228Colin Firth
ひとつはこの映画のラストシーンに出てくる英国王ジョージ6世による、ドイツへの宣戦布告を英国民、そして英連邦の人々に伝えるスピーチ。もうひとつはそれから数年を経て英国から1万キロ以上離れた極東の地・日本で昭和天皇が日本国民に敗戦を告げたスピーチです。宣戦布告と敗戦という意味では全く逆のスピーチなのですが、「国民を鼓舞する」という意味では暗い時代に突入することを素直に語り心の準備を呼び掛ける英国王も、戦争に負けてこれから新しい日本を創るように語りかける昭和天皇も、同じ思いだったのではないかと思いました。いづれにしても、リーダーが思いを伝えるスピーチの巧拙は直感的に聴衆に伝わります。そういう意味でも僕ら「平民」にとっても考えさせられる映画でした。

果たして、今の日本で聴衆を感動させるスピーチが出来るリーダーはいるのでしょうか。

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テーマ:イギリス - ジャンル:海外情報

英雄とは何か??硫黄島の記憶
【いよいよ公開、「父親たちの星条旗」】

イーストウッド監督

ハリウッドで様々な英雄像を演じてきたクリント・イーストウッドが今度は監督として、英雄とは何かを問うた「父親たちの星条旗」がいよいよ公開される(日本公開10月28日)。これはアメリカ側から見た硫黄島で、ほぼ1カ月後には日本側から見た硫黄島をテーマにした同監督の映画硫黄島からの手紙」も公開される。ふたつの視点でふたつの国から見た硫黄島を描いたふたつの映画。イーストウッド監督の新しい試みだ。

テーマは戦争における英雄のあり方だ。同じようなテーマで「ラスト・サムライ」「男たちの大和」にもある意味双方の国民に問いかけるものがあった。

今回はそれ以上に、クリント・イーストウッド監督が二つの映画で日米国民になにを訴えたかったのか非常に興味深いものがある。

硫黄島の記憶】

海兵隊記念碑

10月23日号のタイム誌に「父親たちの星条旗」とイーストウッド監督について二つの記事が掲載されている。

"ON DUTY, HONOR AND CELEBRITY"(Page.48)

"THE BURDEN OF HEROES"(Page 44-47)

イーストウッド監督がこの壮大な実験に取り組むことになったきっかけは、硫黄島のすり鉢山に星条旗を掲げる6人の兵隊達を写したひとつの写真だ。それは多くのアメリカ人が知るアーリントン墓地の硫黄島記念碑にもなっており、あまりにも象徴的にアメリカという国家の威信を訴えかけている。国家に命をささげた英霊に対する敬意でもあろうし、国家の誇りでもあるのだろう。

しかし、当時この写真は厭戦気分が広がりつつあったアメリカの戦時国債を国民に買ってもらうためのプロパガンダに利用されたのだ。言わばその目的のために別の場所で星条旗を掲げた写真を撮った6人のうち3人が生き残り、母国での国家の宣伝活動に利用されたのだ。そして3人は苦悩の中でそれぞれの道を歩む。映画はその作られた英雄、プロパガンダと化した英雄像を鋭く抉るのだ。

The movie is about the real theater of war: how a battle campaign morphed into a p.r. campaign and, implicitly, how later generations of politicians have used symbols to sell a war.

【現代の戦争】

イーストウッド監督が言うように、第一次世界大戦までは敵味方を尊重する規範のようなものが未だ存在していた。誰もが勇敢だと感じる英雄像があったのだ。しかし、現代の戦争では英雄そのものが変質してしまった。いや、なくなったといってもいいのかもしれない。

イラク戦争に従軍する米軍兵士たちにかつての英雄の姿はない。あったとしてもそれは監督が何度か演じてきたような狂気の英雄たちがいるだけだ。

それでも多くのアメリカ人は未だに英雄が再び出てくることを望んでいる。本当にそれでいいのだろうか?第二次大戦後61年目、かつての少年兵も70歳以上となり証言さえも聞けなくなっていく今こそ英雄とは何かを真剣に問いかけておくことはアメリカ人にとっても日本人にとっても重要なことだと思うがどうだろうか?

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【追記】

もうこの記事を書いてうずうずしてきたので、映画の原作本「硫黄島の星条旗」(ジェームズ・ブラッドリー著、文春文庫版)をさっそく買ってきました。封切り前までに読むぞ?。

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