
7月5日の土曜日の朝にホテルから散歩に出かけ、ロンドンの地下鉄駅エンバンクメントからゴールデン・ジュビリーブリッジを渡ったところにあるロイヤルフェスティバルホールで大きなネルソン・マンデラ氏の顔の銅像を見かけました。そのときは、「イギリス人が自分たちの植民地主義の免罪符のようなつもりで銅像を作ったのかな」−くらいの意識しかありませんでした。
ネルソン・マンデラ − 南アフリカでアパルトヘイト撤廃を実現し、その後も南ア大統領、アフリカ民族会議議長として白人と黒人の民族融和に尽力した政治家でノーベル平和賞受賞者。
そのマンデラ氏が、7月21日号のタイム誌で「マンデラ リーダーの8つの条件」("Mandela - His 8 Lessons of Leadership")というタイトルで取り上げられていました。なぜ、今マンデラなのか?それは、7月18日でマンデラ氏が90歳の誕生日を迎えたからだったのです。ロンドンで偶然に見たマンデラの銅像がこの記事に結びついた瞬間でした。
【リーダーの8つの条件】

90歳になったマンデラ氏は、今まで生きてきた人生の実に3分の1にあたる27年間を刑務所で過ごしてきたという特異な経歴を持っています。それだけではなく、南アフリカの民族融和を実現するために多くの想像を絶するような苦難を乗り越えてきた人物です。そのマンデラ氏をリーダーとして導いてきた信条とは何か。タイム誌は氏へのインタビューで8つを挙げています。
1. 勇気とは恐怖が存在しないことではない−みんなに恐怖を乗り越えさせることだ。("Courage is not the absence of fear - it's inspiring others to move beyond it")
2.先頭に立って行動しなさい、ただし基本を置き去りにしてはいけない("Lead from the front - but don't leave your base behind")
3.後方から指揮しさない−そしてみんなには先頭に立っていると思わせるのです("Lead from the back - and let others believe they are in front")
これは後ろから羊の群れを導く羊飼いを思い浮かべるとわかると思います。マンデラは子供のころ羊飼いが好きだったのです。
4.敵を知りなさい−そして敵が好きなスポーツを学びなさい("Know your enemy - and learn about his favorite sport")
5.友人は傍に − そしてライバルはもっと傍に("Keep your friends close - and your rivals even closer")
マンデラ氏は努めて自宅に友人だけでなく、自分のライバル達も呼んで話をしていたそうです。
6.容姿は大事だ−スマイルを忘れずに("Appearances matter - and remember to smile")
大衆に向かうとき、どんなにつらくとも笑顔を見せること−マンデラ氏は本質と同様に外見やシンボルも重要だと見抜いていたのです。そういえばマンデラ氏の笑顔は印象的です。
7.黒・白は関係ない("Nothing is black or white")
ヨーロッパから入植してきた白人であるAfricaner達と黒人を区別せず、最後には融和させたマンデラ氏だからこそ言える言葉かも知れません。
8.やめることも指導者の力量だ("Quitting is leading too")
辞め時を失する最近の経営者には耳の痛い言葉かも知れません。
【永遠の課題】
上に挙げた8つのリーダーの条件は、あくまでもマンデラ氏が自らの体験から語った「覚えておくべきリーダーの心得」のようなものでしょう。したがって、南アフリカ特有の考え方や境遇から来ているものもあるかもしれません。
しかし、ひとつひとつの条件をじっくりと見ていると、私達の身の回りにいる指導者達や自分自身にも当てはまる教訓があるような気がします。みなさんはどう思われますか?
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国際線での長いフライト。窮屈な席、まずい食事、B級映画。どうやったら、こんな不満をぶつける乗客を癒すことができるでしょうか?
ひとつの解決策は空港でしょう。より広くて、スタイリッシュで、便利なターミナルがあれば航空会社は、不満だらけの乗客にフライトを待つ間のつかの間の満足を提供することができるのです。
そしてそんな空港を創るベストタイミングは? ずばり、オリンピックです。
【ロンドンと北京】
4月7日号のタイム誌に「Come Fly with Me」と題して、ロンドンと北京に有名建築家の手による効率よく使いやすい斬新な空港が出来ているという記事が掲載されています。
Come Fly with Me. Starchitect-designed terminals in London and Beijing stake stylish claims for comfort and efficiency

先ず、ロンドン・ヒースロー空港。年間7千万人の乗降客をさばく欧州ナンバーワン、世界第三位の民間空港は、老朽化した4つのターミナルのおかげで(?)荷物紛失や長い待ち時間などの理由ではその悪名が高かったのですが、2012年のロンドン・オリンピックに備えるため86億ドル(八千六百億円)の巨費を投じて第五ターミナルを建設、3月27日にオープンしました。
この第五ターミナルは、ポンピドーセンター等数々の著名な建築を手がけたイギリス人建築家リチャード・ロジャース氏(Richard Rogers)の設計で、176メートルもの幅をもつ白い鋼鉄製のアーチ式の斬新な屋根で有名です。この広大な屋根に覆われた広いスペースをフル活用して乗客が快適にチェックインや買い物、休息、移動ができるようになったのです。

そして北京。こちらは今夏のオリンピックに対応するため、ロジャース氏ともかつてチームを組んだことのあるイギリス建築家ノーマン・フォスター氏の手によって、ヒースロー空港の5つのターミナルを束ねたよりも大きな、これまたアーチ式の屋根を持つ第三ターミナルを36億ドルの巨費を投じてオープンしています。
Almost 2 miles(3.2km) from end to end, Terminal Three is the largest building in the world, bigger than all five Heathrow terminals put together.
これにより、北京空港はそれまで32百万人の処理能力に対して52百万人の乗降客だった状況を解消、82百万人の処理能力、航空機は年間242千機から500千機の発着が可能になりました。この年末には北京空港はロンドンを抜いて世界第二の空港にのしあがると見込まれています。
【大競争時代の空港】
この2つの空港を見ていると、国営であれ民営であれ、オリンピックという国際的イベントをいかに最大限に活用しているかがわかります。さらにこの10年余りの経済のグローバリゼーションの大波の中で、航空機による移動も大幅に増え、人とマネーを呼び込むためには巨大空港の存在がますます重要になってきていることを実感させます。
ひるがえってニッポン。地方自治体同士の張り合いで乱立する弱小な地方空港の乱立と空港への外資参入も頑なに拒否する国土交通省の旧態依然たる航空行政が日本の空港事情を世界の孤児に貶めようとしています。かろうじて成田空港が35百万人の旅客数で世界23位(2006年)。関西空港は24時間稼動とは名ばかりで真夜中から明け方までは実際の航空機発着は皆無との話も聞きます。使用料が高く、接続も悪い空港に海外の航空会社がそっぽを向くのは当然でしょう。
これも、英国エコノミスト誌が揶揄する「JAPAiN」の象徴的な例なのかもしれません。ニッポン政府は、未来の展望も国策もなく、このままどこに国民を連れて行こうとしているのでしょうか。
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2月25日号のタイム誌の記事「China's Short March」について3月5日に投稿しましたので公開します。

After looking at the photos of your article, I was appalled to know that the impact of China’s Short March seems to be enormously bigger than any suburbanizations that had happened in many advanced economies, especially Japan and the United States for the last several decades.
If this kind of rapid suburbanization spreads all across China, more and more people in the middle and upper class will commute by their own cars between homes and offices, use air conditioning at home and water for gardening with emitting vast amount of carbon dioxide and to shortening the water supply, resulting to accelerate global warming in the near future.
However, we, as the citizens of the advanced economies, can’t blame them simply for high carbon emissions since we have done the same kind of behaviors in the past. Instead, we should give them some advice, technical and financial support to prevent them from going to catastrophe together with us.
【拙訳】
貴記事の写真を見て、中国の小行軍のインパクトは過去数十年にわたって日本やアメリカといった多くの先進国経済で起こった郊外化よりもはるかに大きいということに本当に驚きました。
もしもこれほどの郊外化が中国全土に急速に広がっていくならば、中流そして上流階級の人たちがますます自宅とオフィスを自家用車で通勤し、家ではエアコンを使い、庭には放水をすることで大量のCO2を排出したり、水不足を招いたりして、近い将来には地球温暖化をさらに加速させることになるだろうということです。
しかしながら、先進国の市民であるわたしたちは過去に同じような過ちを犯してきたのでCO2の排出が多いからといって中国を責めることはできません。その代わり、一緒に破滅に陥らないようにアドバイスしたり、技術や資金支援をすべきなのです。
《参考》
残念ながら今回の投稿文は読者の一意見ということだけでタイム誌への掲載のための一次審査の対象にはならなかったようです。残念。以下はその旨のタイム誌からの返信でした。
Dear TIME Reader,
Thank you for letting us hear from you. The editors appreciate the interest that prompted you to write, and they have made attentive note of your comments. We hope that you will continue to share your thoughts with us.
Best wishes,
TIME Letters
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鍵を高らかに上げて未来を見つめる大勢の人々。そのタイトルには「China's Short March」(中国の小行軍)とある。2008年2月25日号のタイム誌の表紙を飾ったイラストだ。一体、ショート・マーチとは何を意味するのだろうか?
興味をそそられて、早速そのカバーストーリーをめくってみると最初のページに中国の郊外らしき場所にある売り出し中の豪勢な邸宅の写真があった。
そう、小行軍(Short March)とは1934年10月に国民党の攻勢を逃れるため中国共産党がその本拠地江西省瑞金を離れ、1万2500キロもの大行軍を行った「長征」(Long March)をもじってタイトルにしたものなのだ。それでは一体現代中国の小行軍とはいったいなんだろうか?
【巨大な郊外化のうねり】
それは中国で急速にしかも大規模に進みつつある郊外化(suburbanization)のうねりのことなのだ。
China's Short March-----Millions are moving to newly built suburbs outside China's big cities. Their migration will change the nation ---and the world.

毎年10%以上の高度成長が10年以上にわたって続く中国経済。上海や北京だけでなく中国全土の主要都市では高層ビルが次々と建設され、猛烈な都市化が進行している。そんな急速な発展を遂げている100万以上の都市の数は米国の8つ(2000年現在)に対し、中国では48都市にもなるのだ。
繁栄を謳歌する都市に貧しい農村から3億〜4億人もの人々が移動し、建設業だけで18百万人もの移動労働者が従事するのだ。
人が集まればマイナス面も増幅する。工場や車の排気ガスで大気は汚染され、環境破壊が進む都市を逃れて、中産階級の人々が郊外へ郊外へと移動していくのだ。多少の違いはあっても、第二次大戦後に大勢の帰還兵が帰国し、その後も経済発展による都市の荒廃を逃れて郊外へと人口が移動した米国や日本と同じような現象がものすごい規模で今中国で起こりつつあるのだ。
上海だけでも今後10年間に5百万人もの人々が郊外へ移住すると予測されている。そのインパクトは中国だけでなく、世界中に及んでいくだろう。
【小行軍の行く末】

一体、この中国の人々の郊外への小行軍(Short March)はこれからどこへ行くのだろうか?
裕福な中産階級は郊外の恵まれた環境へ移り住むことができるだろう。しかし、冷暖房を完備した住宅から、都市までのマイカー通勤など、今のままではアメリカ型のエネルギー大量消費社会が次々と中国各地に増殖していくことになるだろう。その一方で8億〜9億もの貧しい農民との格差は広がるばかりだろう。
グローバリゼーションの恩恵を受け続けようとするならば、中国政府はこの流れを止めることは出来ないだろう。そして、今までエネルギーを浪費し続けてきた米国や日本をはじめとする先進諸国もこのような中国の発展形態を「悪」だと咎めることはできないのかもしれない。
中国の小行軍・・・これは崖に向かって一目散に突き進むネズミの大群を思い起こさせる。いや、中国だけではなく、人類全体に突きつけられたグローバリゼーションの負の側面への重い課題なのかもしれない。
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少しお知らせするのが遅れてしまいましたが、2007年のタイム誌の「今年の人」が12月19日に発表されています。

『米タイム誌は19日、年末恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」(今年の人)に、ロシアのプーチン大統領(55)を選んだと発表した。ステンゲル編集長はプーチン氏について「混乱したロシアを安定させた」と評価する一方、「ロシアの新しいツァー(皇帝)で、市民や言論の自由を考慮しないという意味では危険だ」と指摘した。
プーチン大統領は00年の就任以来、「強国ロシア」の復活にまい進。来年5月の退任後も首相に就任する意向を表明し、政権内で引き続き影響力を誇示するものとみられる。
「今年の人」は「世界に最も影響を与えた人物」として1927年から発表されている。今年はノーベル平和賞を受賞したゴア前米副大統領や、「ハリー・ポッター」の著者、J・K・ローリングさんらも候補になった。』(12月20日付毎日新聞)
2006年がパソコンの画面に映る「あなた」だったので、2007年のプーチンは少し意外性には欠けました。
※2007年12月31日号タイム誌の記事「今年の人」("Person of the Year")
【プーチンのロシア】
それにしてもプーチン大統領がかもし出す雰囲気は到底親しみのある指導者とは程遠いものがあります。親しみどころか冷酷、残酷なKGBのイメージを抱くのが大方の日本人なのではないでしょうか。それなのに何故ロシア国民の間ではそれほどの人気があるのか?

その答えは「安定」にあるようです。タイム誌のリチャード・ステンゲル編集長が言うように、プーチンはそのたぐいまれなる強固なリーダーシップのもとで、ロシア国民にこの100年近くロシアにはなかった安定をもたらしてくれているからでしょう。自由より、選択より先ず安定がロシアには必要だったのです。
He stands, above all, for stability - stability before freedom, stability before choice, stability in a country that has hardly seen it for a hundred years.
今、プーチンのロシアは絶好調です。広大な国土がもたらす石油資源が膨大な富をもたらし、対外債務も2005年には返済し、経済は高成長を維持しているのです。
その絶好調の経済を後ろ盾に、プーチンはメドベージェフ第一副首相を後継大統領に指名し、自身は首相として権力を温存しようとしています。
【今年も注目の人】
西欧の民主主義国家とは異質の国。そういう意味では日本と似ているのかもしれません。ただ、国民のレベルで言うと、大多数の日本人がロシアに悪感情を抱いているのとは裏腹にロシア国民は自動車や日本食、日本アニメへの親しみからか日本にものすごくいいイメージを抱いているそうです。僕たち日本人はもっとロシアのことを真剣に知る努力をすべきでしょう。
そんなまだまだ未知の国、ロシア。世界が地球温暖化を阻止するためにようやく意思統一を図ろうとしている今、石油大国で半独裁国家ロシアの意思は自国だけでなく世界の安定に寄与するのでしょうか?
もうひとりの独裁者?ブッシュ大統領が退場するであろう今年、ロシアそしてプーチンのロシアの動きから目が離せない日が続きそうです。
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11月26日号のタイム誌の記事"Water Worries"について11月29日に投稿しましたので公開します。
“Water Worries”, TIME dated on November 26, 2007

It was a fresh surprise for me that climate change has never been on the election issue in Australia before this election.
Since water is vital to every living creature on earth and climate change is taking it away from many ordinary citizens over there in the form of a long drought,it is with good reason that worry is so ballooning among them that the future course of politics in Australia could be affected by the stance on climate change by political leaders at the election as one of the important election issues.
Based upon such recognition, your article kindly indicated to me that this election would also be the turning point for many political leaders in the world to tackle climate change seriously not for a hypocritical or superficial slogan such as “Save the earth!” but for their own political survival now and in the near future. In that sense, politicians in Japan, my country, are not the exception.
《拙訳》
この選挙の前にオーストラリアでは選挙の争点として地球温暖化が一度も取り上げられたことがないというのは新鮮な驚きでした。
水というのはこの地球上のあらゆる生き物に不可欠であり、地球温暖化が長期の旱魃という形でオーストラリアの多くの市民から水を奪っているため、市民の水への心配が大きくなり、同国の政治の将来が今回の選挙での重要な争点のひとつとなった地球温暖化に関して、政治指導者がどのようなスタンスを取るかに左右されるのは当然のことです。
このような認識に立って、貴記事がわかりやすく示唆してくれているのは、今回の選挙が世界中の多くの政治指導者にとっても、「地球を救え」といった偽善的あるいは表面的なスローガンではなく、自分達の政治生命のために地球温暖化に真剣に取組む転機となるだろうということです。この意味で、日本の政治家も例外ではありません。
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オーストラリアで大きな地殻変動が起きようとしている。

『ハワード保守政権の継続か否かが争点となったオーストラリア総選挙の投票が24日、行われた。即日開票の結果、国営テレビによると、最大野党、労働党が過半数を制し、11年半ぶりに政権を奪取した。1996年の発足以来5期目を狙った与党、保守連合(自由党、国民党)のジョン・ハワード首相(68)は退陣、労働党のケビン・ラッド党首(50)が次期首相に就任する。
ラッド新政権は選挙公約に従い、イラクの豪州戦闘部隊約550人の段階的撤退と、京都議定書の即時批准を行う見通しで、イラクや環境政策にも影響を及ぼしそうだ。
また、ラッド党首は中国語に堪能な親中派の政治家として知られ、中豪関係が一層強化されるのは確実だ。ラッド党首は一方で日本の調査捕鯨を厳しく批判しており、ハワード政権時代に進展した日豪関係にも微妙な影響が及ぶ可能性がある。』(11月24日付産経新聞)
【選挙の争点に地球温暖化】

今回勝利した労働党のケビン・ラッド党首と敗北したジョン・ハワード首相は、経済政策については大きな違いはなかった。むしろ資源輸出などで好調を続ける豪州経済の現状からすれば、その経済運営を行ってきたハワード首相が勝ってもおかしくないのだ。では何故ラッド氏が勝ったのか。巷では国民がハワード首相に飽きたからだとか言われているが果たしてそうなのだろうか。
選挙前に書かれた11月26日号のタイム誌に「水への懸念」("Water Worries")と題して、長期に亘る旱魃と先行きへの不安によって豪州で初めて「地球温暖化」が選挙の争点となったと興味深い分析をしている。
Water Worries - A long drought and fears of worse to come have made climate change, for the first time, an election issue in Australia
豪州の国民は、6年近くに及ぶ千年振りと言われる旱魃で深刻な水不足を経験し、地球温暖化がさらなる水不足を引き起こすのではという潜在的な不安を抱いている。にもかかわらず、相変わらず米国に追随し未だに京都議定書にも批准しないハワード政権へのいらだちを強めていたのだ。もちろん、今回の選挙結果はそれだけが原因ではないかもしれない。
しかし、オーストラリアで選挙の争点として、短期的な経済政策と並んで地球温暖化が取り上げられたのは注目に値する出来事だろう。それは、豪州の選挙民が目先の利益よりも将来の不安を取り除いて欲しいと願っていることを示しているからだ。
【これから始まる大変化】
もともと、IPCCを始めとする国際機関は、地球温暖化が今後世界の政治や平和に大きな変化を引き起こすことになると警鐘を鳴らしていた。
それが今、オーストラリアの政権交代というかたちで少なからぬ影響が出始めたのだ。世界各地で頻発する地球温暖化が引き金とみられる異常気象。今後、地球温暖化は「人類の脅威」といった飾り言葉ではなく、各国の政治の屋台骨を揺るがすほどの地殻変動を各地で起こしていくことになるだろう。
日本も例外ではない。環境先進国を標榜し、地球温暖化防止に向けても世界をリードしていこうと考えるならば、国民も政治家も、そしてメディアも来るべき大変化の予兆としてオーストラリアの事例からしっかり学習しなければならないのではないか。
ミシュランの格付やら、食の偽装で騒いでいる場合ではないと思うのだが・・・・
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パキスタン情勢が急速に緊迫化している。

『パキスタン訪問中のネグロポンテ米国務副長官は17日、イスラマバード近郊でムシャラフ大統領ら政権・軍の幹部と会談した。副長官は非常事態の解除などを求めたとみられるが、AFP通信が大統領側近の話として伝えたところでは、大統領は「法と秩序の回復」が前提になるとの従来の説明を繰り返し、早期解除を事実上拒否した。
ネグロポンテ副長官はこのほか、公正な選挙の実施、陸軍参謀長の兼職解消など一連の民主化プロセスの履行を強く促したもようだ。』(11月17日付時事通信)
一体、ムシャラフ大統領は、この国をどこに持っていこうとしているのだろうか?
【米国の誤算】
11月19日号のタイム誌は「パキスタンの非常事態宣言」("Pakistan's State of Emergency")と題して、民主主義を否定しようとするムシャラフ大統領への民衆の怒りと米国の苦悩を浮き彫りにしている。
Pervez Musharraf infuriates his people - and embarrasses Washington - by cracking down on democray. Will that help him fight the war on terrorism? Probably not.
すなわち、あの911テロを引き起こしたアル・カーイダの主要メンバー等多くのテロリストが潜伏していると見られているパキスタンは、テロリストとの戦いを進める米国にとって必要不可欠な同盟関係にある国だ。しかし、そのカウンターパートが独裁者であり続けるのも米国にとって不都合だというのがその苦悩の正体なのだ。
ではどうするか?

その解決策としてブッシュ大統領は、亡命していた野党党首で前首相のベーナズィール・ブットー氏(Benazir Bhutto)をパキスタンに呼び戻し、彼女を首相にして民主主義を回復し、ムシャラフ氏は軍参謀長の地位を外れて平民の大統領としてとどまるというシナリオを立てたのだ。
しかし、ここ数週間でそのシナリオは破綻した。10月に再任されたムシャラフ大統領に最高裁が軍参謀長を兼任するのは憲法違反だと対立、大統領は今月非常事態宣言を発動して憲法を停止するとともにブットー氏の政治活動も妨害しているのだ。
【天は自ら助ける者を】
そもそも今のパキスタンは1947年にイギリス領インドから独立し、度重なるインドとの戦争を戦いながら、長い間その強大な軍事力で連邦共和制という国家体制をかろうじて維持してきた国だ。核兵器を保有し、テロとの戦いやイラン、旧ソ連(今のロシア)との対抗上、米国が絶対にはずせないと考えている国でもある。
しかし、長い軍政支配のせいもあり、政党の力は弱い。そんな中で現在の危機的状況を抜け出し安定した国家にするためには、大多数の民衆の支持が最も不可欠だ。
ムシャラフ大統領は、米国の操り人形みたいに動くのではなく、自らの意思で民主国家への道筋を明確に民衆に示して、公正な選挙を一刻も早く実施してほしい。もちろん、そのためにブットー氏の政治活動も再開させるなどの度量も見せて欲しいものだ。
「天は自ら助くる者を助く」 "Where there's a will, there's a way."
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9月24日号のタイム誌の記事"Fade Away"について9月27日に投稿しましたので公開します。
Fade Away TIME, September 24, 2007

As your article pointed out, Premier Abe’s sudden resignation pulled a trigger to turn back the clock of Japanese politics to the bad old days of revolving-door cabinet. In the early stage of Prince-like Abe’s appearance following Junichiro Koizumi’s long era, people gave him support not only because he advocated strong leadership to reform the old regime of the country after World War II but he seemed to survive for a longer period to improve and stabilize their ways of living now and in the future.
With a widening gap between Shinzo Abe and the people and his deteriorating health, he had to resign at the worst timing of political struggle with Ichiro Ozawa, the opposition leader of the DPJ.
The important lesson from this incident is that we should select a leader with both strong mind and health and never with the good appearance and high popularity.
≪拙訳≫
貴記事が指摘しているとおり、安倍首相の突然の辞任は日本の政治の時計の針をかつての回転ドアのような内閣の時代に逆戻りさせる引き金を引いたようだ。小泉純一郎の長い時代の後に就任した王子様のような安倍政権の初期に、国民が彼を支持したのは単に戦後の古いレジームからの脱却だけではなく、長く政権にとどまって自分たちの今そして将来の暮らしを良くしてくれるように思えたからなのだ。
安倍氏と国民の間の認識ギャップが広がり、健康を害したことで安倍氏は民主党の小沢代表との政治的争いの中、最悪のタイミングでやめざるを得なかった。
この出来事から学ぶべきことは、私たちは決して見てくれのよさや人気の高さではなく、強い意志と身体をもったリーダーを選ぶべきだということだ。
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【追記】
9月27日にタイム誌から「採用するかもよ」という例のメールが届きました。それにしても今年になってからは未だ一度も採用してもらってません。しばらくは難しいのかなあ〜
Dear Reader,
Thank you for writing. We welcome timely, insightful reactions to material we have published, and we can assure you that your observations found an attentive audience among the editors. Should your comments be selected for the column, you will be notified in advance of publication. Again, our thanks for letting us hear from you. We hope that you will write again should you discover something of particular interest in the news or in our reporting of it.
Best wishes.
TIME Letters
《参考》
・「消えたタフネス−安倍氏辞任の謎」・・・9月22日の僕のブログ記事
首相に就任する以前から海外のメディアは、安倍首相のことを「筋金入りの保守派」(a born conservative)とか「国家主義者安倍」(Nationalist Abe)と呼んで警戒していた。そして任期前半はまさにその警戒心を裏打ちするかのように、安倍内閣は教育基本法改正、防衛庁の省への昇格、憲法改正のための国民投票法成立などの公約を強行採決によって実現してきたのだ。
しかし、代表的な海外のメディアであるタイム誌も安倍政権にこんな結末が待っていることは予想していなかったようだ。

9月24日号のタイム誌は表紙に涙顔の安部首相を持ってきて、「消え入る(首相)」("Fade Away")と題して国際舞台での断固たる姿勢を望んでいた首相の思惑は、経済への関心が高い国民と最後まで折り合わなかったとレポートしている。
Fade Away - Shinzo Abe wanted Japan to stand tall on the international stage, but his agenda never clicked with a public more concerned about the economy
筋金入りの保守派から消え入る首相へ。何がこれほどのギャップをもたらしたのだろうか。
【テロ特措法が引き金?】

それにしても不可解な突然の辞任劇だった。その最たるのものが、辞任の理由だ。すなわち、安倍氏がその辞任会見で、辞任の理由は松岡農水相の自殺でも、年金問題でも、参院選での惨敗でもなく、民主党の小沢代表が党首会談を断ったからだと語ったことだ。
確かに安倍氏が政治生命を賭けると見得を切ったテロ特措法の期限延長問題で真っ向から対立する小沢民主党との党首会談に一縷の望みを託していたのに、それが実現できなかったことが彼を心理的に四面楚歌の状況に追い込んだのかも知れない。
いづれにしても、タイム誌は、複数の専門家の言葉を引用しながら、持病に加えてあまりにも重い責任に耐え切れなくなった、岸元首相という偉大な祖父を持つ若きプリンスの姿を驚きをもって紹介している。
【早く混迷からの脱出を】
この記事が書かれた時点では未だ福田氏擁立が確たる動きになっていなかったので、次期総裁としては麻生氏の名前しか出ていないが、タイム誌は、誰がなるにせよ、日本はまた首相が次々に入れ替わる旧来の派閥政治に逆戻りする可能性があると書いている。
Whoever wins, Japan may be returning to the bad old days of fractional politics, in which Prime Ministers come and go as party infighting overshadows the issues the country really needs to tackle.
混迷の元は自民党だけではない。民主党も今は小沢代表に「お手並み拝見」とばかりに党内の意思統一が図られているが、右から左まで党内意見は幅広く政権与党になれるかどうか疑問も多いのだ。
サブプライム問題で揺れる世界経済の余波は日本にも波及してきている。景気後退を未然に防ぐためにも、早く改革の姿勢を継続できる首相の登板を望みたいところだ。国内で小さなコップの中での小競り合いをしている場合ではありませんよ、民主党、自民党の国会議員のみなさん!!
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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済









