TIME誌で知る世界の時事ニュース
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ブッシュの置き土産―エタノール
【レスター・ブラウン氏の警告】 (少し長くなりますがお付き合いくださいね)

レスターブラウン博士

5月24日の「クローズアップ現代」を何気なく見ていたら、国谷キャスターが地球環境研究所のレスター・ブラウン博士にインタビューしていた。

そこで博士が語っていた言葉に「はっ」とする思いがした。その言葉は6月18日号タイム誌の記事「ユマのトウモロコシ燃料」"Corn-Powered in Yuma."にもあった。

エタノール燃料がもたらしたもの、それは今まで明確に区別されていた食べるための穀物と燃料のための穀物の間にあった境界線を消してしまったことです」

"The line that used to separate food grain from the grain being used for energy is being erased."

「すなわち、今は自動車を所有する8億人の人たちと20億人の最も貧しい人たちの間で直接穀物をめぐる奪い合いが起こる段階に来ているのです。」

"The stage is now set for direct competition for grain between 800 million people who own automobiles and the world's 2 billion poorest peopole."

エタノール燃料がもたらしている混乱の元凶を博士を見事に言い当てていたのだ。

【負の連鎖】

エタノール燃料

エタノール燃料、正確にはバイオマスエタノールとは、サトウキビや大麦、とうもろこしなどの植物資源からグリコールを発酵させて作られたエタノールのことを言い、自動車のガソリンに混合することで地球温暖化対策に有効という触れ込みで、特に米国のブッシュ政権が脱石油政策の一環として推進することを打ち出したこともあり、最近世界中で急速に普及しつつあるのだ。

しかし、この燃料、タイム誌に紹介されたコロラドのユマなどのとうもろこし地帯を地盤とするブッシュ氏にとっては政治的に大きな意味があるかもしれないが、実際の地球温暖化防止の観点からは疑問符がついている上に 、さらに大きな問題が待ち受けているのだ。

エタノール製造工場

その問題とは、先に紹介したレスター・ブラウン博士の指摘するエネルギーと食物の境界線がなくなることによる食物不足、価格高騰を招き貧しい人々を追い込み貧富の格差、南北問題を助長しかねない点だ。これが最大の問題だろう。
しかもそれだけではない。

本当にエタノール燃料が普及し始めたとき、その燃料需要だけでなく、とうもろこしを餌とする牧畜業者や酒類業者といった食品製造業者の需要を満たすことが出来るのかどうかという問題もある。

そして、その価格にはもっと問題がある。すでにとうもろこしの需要急増でその価格は過去15ヶ月で倍以上(1ブッシェル当り2ドルから4ドル)に値上がりしているのだ。そのツケはとうもろこしを原料とする食品製造業者にかかってくるのだ。

さらに将来的には、価格高騰の影響で次々とエタノールプラントが計画される結果、ブッシュの計画達成年度にあたる2012年以前に今度はとうもろこしの過剰供給による価格暴落のリスクもあるのだ。

こんな負の連鎖を引き起こすとうもろこしを原料にするエタノール燃料。一体何故、ブッシュ政権はこの燃料の普及を急いでいるのだろうか?

【国益優先の愚】

詰まるところ、米国の現政権にとっては米国のエネルギー安全保障の観点しか頭にないことが今回のバイオエタノールを巡る世界的な混乱を引き起こしているのではないかと推測する。地球温暖化を本当に防止しようなんて考えていないのだ。

喜んでいるのは、最近の経済発展に取り残されていた人口3400人足らずのコロラド州ユマのようなアメリカの農村地帯くらいなのだ。

本当にこんな国益優先の政策でアメリカは地球温暖化の脅威に立ち向かおうとしているのだろうか?もう一度足元を良く見てもらいたいと思うのは僕だけだろうか?

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