TIME誌で知る世界の時事ニュース
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中国の小行軍?郊外化の先にあるもの
【"Short March"って何?】

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鍵を高らかに上げて未来を見つめる大勢の人々。そのタイトルには「China's Short March」(中国の小行軍)とある。2008年2月25日号タイム誌の表紙を飾ったイラストだ。一体、ショート・マーチとは何を意味するのだろうか?

興味をそそられて、早速そのカバーストーリーをめくってみると最初のページに中国の郊外らしき場所にある売り出し中の豪勢な邸宅の写真があった。

そう、小行軍(Short March)とは1934年10月に国民党の攻勢を逃れるため中国共産党がその本拠地江西省瑞金を離れ、1万2500キロもの大行軍を行った「長征」(Long March)をもじってタイトルにしたものなのだ。それでは一体現代中国の小行軍とはいったいなんだろうか?

【巨大な郊外化のうねり】

それは中国で急速にしかも大規模に進みつつある郊外化(suburbanization)のうねりのことなのだ。

China's Short March-----Millions are moving to newly built suburbs outside China's big cities. Their migration will change the nation ---and the world.

中国の郊外化

毎年10%以上の高度成長が10年以上にわたって続く中国経済。上海や北京だけでなく中国全土の主要都市では高層ビルが次々と建設され、猛烈な都市化が進行している。そんな急速な発展を遂げている100万以上の都市の数は米国の8つ(2000年現在)に対し、中国では48都市にもなるのだ。

繁栄を謳歌する都市に貧しい農村から3億?4億人もの人々が移動し、建設業だけで18百万人もの移動労働者が従事するのだ。

人が集まればマイナス面も増幅する。工場や車の排気ガスで大気は汚染され、環境破壊が進む都市を逃れて、中産階級の人々が郊外へ郊外へと移動していくのだ。多少の違いはあっても、第二次大戦後に大勢の帰還兵が帰国し、その後も経済発展による都市の荒廃を逃れて郊外へと人口が移動した米国や日本と同じような現象がものすごい規模で今中国で起こりつつあるのだ。

上海だけでも今後10年間に5百万人もの人々が郊外へ移住すると予測されている。そのインパクトは中国だけでなく、世界中に及んでいくだろう。

【小行軍の行く末】

都市と農民

一体、この中国の人々の郊外への小行軍(Short March)はこれからどこへ行くのだろうか?

裕福な中産階級は郊外の恵まれた環境へ移り住むことができるだろう。しかし、冷暖房を完備した住宅から、都市までのマイカー通勤など、今のままではアメリカ型のエネルギー大量消費社会が次々と中国各地に増殖していくことになるだろう。その一方で8億?9億もの貧しい農民との格差は広がるばかりだろう。

グローバリゼーションの恩恵を受け続けようとするならば、中国政府はこの流れを止めることは出来ないだろう。そして、今までエネルギーを浪費し続けてきた米国や日本をはじめとする先進諸国もこのような中国の発展形態を「悪」だと咎めることはできないのかもしれない。

中国の小行軍・・・これは崖に向かって一目散に突き進むネズミの大群を思い起こさせる。いや、中国だけではなく、人類全体に突きつけられたグローバリゼーションの負の側面への重い課題なのかもしれない。

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Ny・long・kongって何?
【三都物語】

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1月28日号タイム誌のカバーストーリーは「A Tale of Three Cities」でした。そして表紙に掲載されているのはNy・lon・kongの文字。それって何でしょう?

Ny・lon・kong -----それはグローバル経済を先導する三つの都市を合成した都市名です。すなわち、ニューヨークシティ、ロンドン、香港の合成語。その三つの都市が苦難の末に勝ち取った成功と挑戦の鍵について特集しています。

Ny・lon・kong ----How three connected cities drive the global economy. The keys to their success ---and the challenges they now face

【ダボス会議】

1月23日からスイスのダボスで始まった世界経済フォーラムは、27日に閉幕した。「今年はそこそこの景気(Goldilocks Economy)が続く年」という楽観ムードが覆っていた昨年とは打って変わって、今年のダボスはサブプライム問題以後変調を来たす世界経済の先行きや地球温暖化防止に向けた目標設定などを巡って白熱した議論が繰り広げられたようです。

そのダボス会議の焦点はグローバリゼーションの現在と未来ですが、その中心となって繁栄しているのが、70年代から80年代にかけてはそれぞれ固有の事情でどん底に喘いでいた三つの都市、すなわち、ニューヨーク、ロンドン、香港だというのがタイム誌の主張です。

ニューヨークは1975年にほとんど破産状態となり、年間2千人もの殺人が起こる犯罪都市でした。ロンドンは、1981年左派グループによる暴動などで荒廃していましたし、香港も中国返還を控えて経済が動揺、株や不動産が暴落していたのです。

【変化の源?マネー】

NYLONGKONG

そんな三都市がその経済力をサービス産業に集中し、マネーの大循環で世界経済を牽引する大変貌を遂げたのです。19世紀を帝国の時代、20世紀を戦争の時代とするなら、21世紀は金融の世紀となるであろう、その中心がNy・lon・kong なのです。

The network of international trading and personal contacts that shape New York, London and Hong Kong facilitate their key industry. If the 19th century was the age of empire and the 20th one of war, so the 21st century, to date, is an age of finance.

その三都市の魅力はもちろんマネーだけでなく、ニューヨークは文化、ロンドンは世界のセレブを惹きつけるコスモポリタンな伝統、そして香港は中国という大後背地を持つグレーターチャイナとしての玄関口の機能にあるのです。

【グローバリゼーションの教訓】

フラット化する世界の中で急速に富を集め、繁栄のコアとなっているNy・lon・kong。その都市の繁栄は、国家の潜在的な競争力に支えられているとも考えられます。2007年の世界50カ国・地域の潜在競争力ランキングで1位を維持する圧倒的な競争力を誇る香港、3位の米国、4位のイギリス。(日本経済研究センターの調査)

この順位で日本は13位に甘んじています。グローバリゼーションを牽引し、世界の富を集めるには人々の欲望を次々と満たしてくれるマネーの奔流を作り出せるパワーが必要です。果たして、日本はそのマネーを集めてNy・lon・kongのような都市を目指すべきなのでしょうか。それとも独自の伝統文化を護り、静かに自らのモラルを世界に説いていくべきなのでしょうか。Ny・lon・kongが日本に突きつける課題はなかなか重たいものがありますね。

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