TIME誌で知る世界の時事ニュース
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断絶するインドとバングラデシュ
国境と国家】

国境が明確に規定されたのは、1648年にそれまでのヨーロッパでの宗教戦争に終止符を打ち、ドイツで締結され、国際法の元祖となったウェストファリア条約だと言われている。それ以降、主権国家は明確な領域を持つこととされ、地球の連続的な広がりを有界化して、国境線が地表上にひかれることとなった。今僕たちは、その国境線をグーグルの世界地図で世界の隅々まで見ることが出来る。

しかし、地図の上に描かれる一本の線は、人間同士、国家間に様々な悲劇や軋轢を生んできた。日本は幸いにして海に囲まれているため、ほとんどの国境が「海」という自然物で区切られている。唯一、過去の戦争で失った北方4島などが国民に国境の存在を感じさせるくらいだ。

その国境の現実を今、インドバングラデシュはひしひしと感じているという記事が目に留まった。

【テロと安全】

大きな断絶
2月16日号のタイム誌の記事「大きな断絶」("A Great Divide", Page 22-27 TIME magazine dated on February 16,2009) に、インド政府が今、テロの脅威から自国の安全を守るという大儀名分を掲げて、バングラデシュとの2500マイルにも及ぶ国境線をすべてフェンスを張り巡らそうとしていると紹介している。

India is building a fence along its 2,500-mile border with Bangladesh to contain what New Delhi perceives to be external threats to the nation's security.

2500マイルといえば、キロに直すと約4000キロ。福岡から東京まで距離にして約880キロなので、その4.5倍もの距離がある。これほどの長さの国境を写真のようなフェンスで取り囲んでいるのだ。はたして、物理的な構築物でインドは本当にテロの脅威から解放されるのだろうか。はなはだ疑問だ。

【宗教と経済の狭間】

インドバングラデシュを隔てているのは、歴史的に国境線よりも宗教の方が重要だ。インドはヒンドゥー教、バングラデシュイスラム教である。インドはIT産業や鉄鋼など様々な分野で経済的な離陸を遂げているが、一方のバングラデシュは国家としての歴史も浅く、毎年洪水に悩まされるなど気象条件も厳しいことから経済的にも離陸が遅れ、国民は貧困に喘ぎ、政治も不安的で、テロの温床ともなっている。

かつては4百万人もの難民を受け入れていたインドも、最近のムンバイでのテロなどを背景に、バングラデシュからの人の流入に神経質になっているのだ。

しかし、物理的な壁をいくら強固にしても本当の解決にはならないだろう。なぜなら、生活のための密貿易による人の往来はそう簡単には止められないからだ。例えば、インドでは神聖視されている牛が、バングラデシュとの間の密貿易取引の半分近くを占めていて、貧困に喘ぐバングラデシュの人達にとってフェンスがあろうとなかろうと、生きるためには牛の売買などを継続するために、国境を越えざるを得ないのだ。

インド政府は、先ずバングラデシュとの間の密貿易を減らす努力や、同国との経済協力などアジアの新興経済大国としての責任を果たすことが重要ではないだろうか。みなさんはどう思われますか?

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テーマ:インド - ジャンル:海外情報

ローマ法王の勇気?トルコ訪問
ローマ法王トルコ訪問

トルコ宗教庁長官とローマ法王

連日報道されていたにもかかわらず殆ど僕ら日本人が関心を示さなかったが、世界的には注目されていた出来事が無事に終わった。ローマ法王トルコ訪問だ。

ローマ法王ベネディクト16世は1日、イスタンブールのカトリック司教座聖堂でミサを行い、4日間にわたったトルコ訪問を終えて帰国の途に就いた。ミサにはキリスト教徒約700人が参列。東方正教会で名誉上の首位にあるバルトロメオ1世・コンスタンチノープル総主教ら、カトリック以外の聖職者も姿を見せた。 (12月1日付毎日新聞)

※写真はトルコ宗教庁長官と会うローマ法王

ローマ法王は11月28日にトルコの首都アンカラに入り、エルドアン首相、セゼル大統領、バルダックオール宗教庁長官と相次いで会談し、12月1日のミサで就任以来初めてだったイスラム国への訪問を無事終了したのだ。

ローマ法王は何故トルコに行き、何があったのか?

【イスラムとの対話】

ローマ法王のトルコ訪問の最大の目的、それはイスラム教の「ジハード(聖戦)」批判発言でこじれたイスラム社会との関係修復にあった。

それが西欧社会にとっていかに大きな出来事だったかは、11月27日号のタイム誌がそのカバーストーリーに「イスラムと対峙する法王」("THE POPE CONFRONTS ISLAM")というタイトルで大々的に取り上げたことからも明らかだ。法王のトルコ訪問がイスラムと西欧に長年続く論争に新しい局面を開いたのだ。

061127TIMECover

THE POPE CONFRONTS ISLAM

How Benedict XVI's first visit to a Muslim nation could reshape the debate between Islam and the West

事の発端は昨年9月のローマ法王のドイツでの発言だった。ドイツのレゲンスブルク大学での講演でイスラム教の預言者ムハンマドがもたらしたものは邪悪と非人間性だけだ」との東ローマ帝国皇帝の発言を引用してイスラム教の暴力性を暗に批判したことが、世界各国のイスラム教徒から激しい反発を浴びていたのだ。

※レゲンスブルク大学での講演内容


預言者の批判となれば相当のリスクが伴うことを法王は知っていたと思うのだが、タイム誌が言うようにそれが意図的になされたものかどうかはわからない。

It remains unclear whether Benedict was deliberately trying to raise the temperature.

しかし、ローマ法王の考えていた以上にその発言の余波はイスラム社会のみならず世界中に広まり、何らかの収拾策が必要になっていたのである。

【法王の勇気と今後】

たった4日間のトルコ訪問ではあったが、身の危険に晒されながらも法王はやるべきことをやったようだ。トルコの宗教庁長官と面談したり、イスタンブールのモスクで祈祷したりしてイスラム社会との融和をアピールするとともに、同じキリスト教である東方正教会の司教とともに「トルコのEU加盟には信教の自由が不可欠」と発言してイスラムをけん制することも忘れなかった。

しかしながら、タイム誌の指摘するように法王は9月の発言に対するイスラム社会の反発への謝罪はしたものの、基本的にイスラムの理性なき暴力性への懐疑心は変わっていないようにも思える。

とにもかくにもローマ法王自らイスラム国を訪問し、自己のなした発言が招いた波紋を収拾し、今後の対話の糸口を見出したことには素直にその勇気を賞賛すべきだろう。

すでにヨーロッパを始めとする西欧社会には深く広くイスラム社会が入り込み、イスラムと西欧という対立構図を強調すればするほど深いジレンマに陥っているというのがテロの連鎖に悩む現在の世界ののっぴきならない状況なのだ。

「文明の対立」のこれ以上の悪化を防ぐためにも、イスラムとキリストという二大宗教の対話のチャネルを開いておいてほしいと思うのは僕だけだろうか。

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