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TIME誌で知る世界の時事ニュース
「TIME誌で知る世界の時事ニュース」は週に一度は世界的な週間雑誌TIME誌を題材にした記事を博多っ子の独自の視点で解説・提供するニュース発信ブログです。TIME誌へ投稿もします。
TIME誌で知る世界の時事ニュース
博多っ子イラスト

「TIME誌で知る世界の時事ニュース」は世界的な週間雑誌TIME誌を題材にした記事を博多っ子の独自の視点で解説・提供するニュース発信ブログです。

さらにタイム誌に筆者の意見を投稿し、ブログにも投稿内容を掲載します。 (6月26日号7月31日号に続き、10月30日号のタイム誌にも五度目の投稿文が掲載されました)

(速報) そしてウェブ版タイム・アジアの2月26日号、店頭販売タイム・アジア3月9日号に筆者の意見が2年3ヶ月ぶり、6度目にして掲載されましたのでお知らせします。

ウェブ版タイム・アジア2月26日号の「Inbox」に掲載された筆者の投稿分「Walls Will Tear Us Apart」

英語学習者の皆さんで、「タイム誌に挑戦したいけど、難しくてとっつきにくい」と思っておられる方。是非、このブログをご覧になって「英語を学ぶ」楽しさとはひと味違った「英語で」世界の動きを知るというワクワクするような体験を味わってください。 (ただし、このブログはタイム誌の記事を翻訳するブログではありません。タイム誌の記事を織り交ぜながら筆者のその記事に対する見方を紹介しています)

もうひとつタイム誌はiPodを使った「タイムマガジンポッドキャストフォージャパン」("TIME Magazine Podcast for Japan")というサービスも提供しています。iPodをお持ちの方はそれも活用されると効果倍増です。

それでは今日の話題をお届けします。

コメント、トラックバック歓迎しますので、どうぞよろしく。(ただし、一旦お預かりして不適当だと判断するものは削除させていただきます)


(注-1) タイム誌への投稿文(英文)は、別建のブログ「Newsletter from Fukuoka」に掲載しています。

(注-2)姉妹ブログとしてタイム誌以外にも今話題のニュースと博多っ子の意見を配信する「博多っ子の元気通信」ブログもよろしくお願いします。


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テーマ:気になるニュース - ジャンル:ニュース

主役の逆転?-欧州凋落と中国台頭の衝撃
【パックマン中国】

120124Pacman China
中国の台頭に西欧が警戒感を強めているようです。2011年12月19日付のタイム誌の記事「ヨーロッパを食べつくす」("Feasting on Europe" by Vivienne Walt, p.45-48, TIME magazine issued on Dec.19,2011)に中国が財政危機で喘ぐ欧州諸国のインフラから有力企業まであらゆる富に食指をのばしていることに警戒感を強めていると書かれていました。果たして、中国はどこまで西欧を凌いでいけるのでしょうか?

As the euro-zone crisis deepens, China is angling for the union's most prized firms

「ユーロ危機の深刻化の中、中国がEUの優良企業を狙っています」

【危機に乗じて?】

120124アイスランド
EUが戦々恐々とする気持ちもわからないではありません。オーロラの幻想的な景色が楽しめるアイスランドの小さな町Grimsstadir。昨年ここに中国のZhongkun Investment Groupが2億ドルで巨大な観光リゾートを建設するという計画が持ち上がり、その計画を巡ってアイスランド中が喧々諤々の論争となり、中国の狙いは単なるリゾート開発だけではなく、北極に近いこの地の利を生かして国家的な資源戦略の一環として狙っているのではないかという懸念まで出てきたというのです。

もちろんアイスランドのリゾート開発だけではありません。今、欧州では中国の買収旋風が吹き荒れています。スウェーデンの自動車会社Saabの買収(1億41千万ドル)、ハンガリーの化学会社BorsodChen買収(16億ドル)、ノルウェーのシリコン素材会社買収(20億ドル)をはじめ、インフラから優良企業までその買収対象は多岐にわたっているのです。

それもそのはず、今中国は比較的好調な経済を背景に国家としては2兆ドルもの外貨準備高を蓄積、投資グループや民間企業も活発に世界各国で買収案件を競い合うように狙っているのです。さらには以前は経営状態の悪くなった企業買収が主だったのが、最近は欧米の優良企業やイタリアの国営石油会社ENIやエネルギー会社Enelなど国家戦略とも密接につながるような企業買収にまで手を広げているのです。

実際、欧州での中国の直接投資額は、2010年には2009年の倍となり、2011年の最初の半年で5年前の投資額13億ドルを超えて現在も増え続けているとのことです。

【リスクの逆転現象】

2010年5月24日のタイム誌の記事「リスクの逆転」("Risk Inverse" p.16, TIME issued on May 24, 2010)で指摘されていたように、かつてはカントリーリスクが高くて資本逃避がたびたび起こっていた発展途上国がここ10年ほどで力をつける一方で、欧米や日本などの先進国は人口の高齢化や産業の空洞化などの問題が次第に顕在化し、ついにはギリシャやイタリアなどでは財政危機から国債の大幅な格下げという事態まで招来するようになって、発展途上国と先進国のリスクの逆転現象がここにきて顕著になってきているのです。

その最も端的な例として「今そこにある危機」が欧州であり、それを救う側に立っているのが中国というわけです。しかし、物事はそう単純ではありません。かつては日本が資本大国として世界中を買収するのではないかと恐れられたように、今中国が異質の国として警戒されているのです。

中国だけでなく、インドやアラブの国々、中南米の国々がアメリカや欧州の先進国にとって代わる時代はどんな世の中になるのでしょうか?興味津津ですが、大動乱の時代も予感されますね。みなさんはどう思われますか?


テーマ:ヨーロッパ - ジャンル:海外情報

ウェブによる市民革命―次はどこ?
【厳戒中国】

中東の市民革命の波が中国を襲うのかと注目されたが、最初の波は当局に掻き消されたようだ。

110311市民革命
『中東で広がる民衆抗議行動に刺激を受け、インターネット上で20日に開催が呼びかけられていた中国13都市での集会やデモは、公安当局の厳重な警戒で不発に終わった。

 ただ、香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは、19日から20日にかけ、活動家ら1000人以上が中国各地で当局に連行されたり外出制限を受けたりした、と伝えた。

 北京では20日、集会場所に指定された繁華街に外国メディアが多数詰めかけ、参加者を待ち構えた。しかし、白色の花束を持って現れた男性2人が警官に連行された以外、参加者らしい人は現れなかった。

 上海では、繁華街に学生ら約50人が集まったが、警官が排除し、若者3人を連行した。現場にいた外資系企業勤務の男性(30)は、「(共産党の)一党独裁を終結させ、言論の自由を実現させたい」と話していた。広東省広州や遼寧省瀋陽などの都市でも、厳重な警戒態勢が敷かれた。』(2月20日付読売新聞)


【ウェブ革命の波及先】

110311SinaWeibo
中東ではチュニジア、エジプトの独裁政権が市民の怒りの前に倒れた後、リビア、バーレーンとまだまだ収まる気配は見えない。日曜日のNHKスペシャル「ネットが革命を起こした?アラブ・若者たちの攻防?」でも取り上げられていたが、アラブの革命の手段はFacebook等のソーシャル・ネットワーク、YouTube等の動画サイト、そしてマイクロブログと呼ばれるTwitterなどのインターネットメディアだった。

そして今、中東以外の地域で注目されているのが「中国」だ。2月21日付のタイム誌の記事 「つながる」("Wired Up" by Austin Ramzy, TIME issued on Feb.21, 2011)に中国におけるソーシャル・メディアの動きが取り上げられている。

Wired Up ----The rapid rise of social media and microblogs has changed the Internet equation between the Chinese state and the people

【独自の発達と検閲】

中国国内ではグーグルによる検索もTwitterによる「つぶやき」も、Facebookによる情報共有も中国政府による検閲によって完全に自由に使うことは出来ない。例えば中国在住の人たちをFacebookの友達に誘おうとしても一部ではブロックされているのだ。この中国の情報統制は「中国の巨大なファイアフォール」("the Great Firewall of China")と呼ばれている。

しかしながら、中国の人たちはしたたかさも持ち合わせている。今回の集会やデモの呼びかけもその一例であるが、中国国内ではTwitterに代わるマイクロブログとしてSina Weiboというツールが人々の間で急速に広まりつつある。 Sino Weiboでは検閲が行われているものの、それなりのネットワーキングが可能なのだ。その影響力は、発足後14カ月あまりで50百万人のユーザーを獲得、2011年初めには70百万人に達したと見られており、日増しに強まっている。何しろ中国には457百万人ものインターネットユーザーがいて、まだ拡大しつつあるのだから世界への影響力という意味でも無視できないのだ。

エジプトやチュニジアほどではないにしても中国も一党独裁国家のひとつであるし、若者の失業など経済の拡大に伴い広がる格差に対する不満も抱えているため、いつこういったソーシャル・メディアやマイクロブログを使った民衆のネットワークが新たな「革命」につながるか予断を許さない。今後も中国当局と民衆のネット上での攻防からは目が離せない。

テーマ:中国 - ジャンル:海外情報

「英国王のスピーチ」に想うこと
【吃音に悩む王】
110228英国王のスピーチ
アカデミー賞受賞最有力と見られている映画を観てきました。 英国王のスピーチ("The King's Speech")」です。確かに前評判通り、吃音に悩む英国王ジョージ?世を演じる英国の名優コリン・ファースの渋い演技が光る英国らしい映画でした。そして国王を頂点とする英国同様、象徴天皇の国ニッポンの国民である僕にとってもいろいろと考えさせられる映画でした。

【階層社会の王と平民】

映画の舞台は英国王室。第二次大戦前夜の緊迫した情勢の中、不本意にも突然の王位継承という運命を背負った英国王ジョージ6世が、内向的な性格のゆえに吃音に悩んでいたのですが、妻エリザベスの助けを借りて言語障害の専門医ライオン・ローグを雇い吃音の克服に挑戦、苦闘の末に国民にドイツとの戦争を告げるスピーチをやり遂げ、立派な国王となっていくというストーリーです。

国王の吃音は生まれつきではなく幼少期の体験から来る後天的なものということを見抜く言語聴覚士のオーストラリア人ライオン・ローグを、最初は田舎者の平民と罵倒することもあった国王も次第にその粘り強い治療に心を開くようになり、国王と平民というクラス社会の壁を乗り越え、固い友情の絆で吃音を克服していくプロセスは、これが実話であることも相まって観る者に静かな感動を呼び起こします。

【名優の演技と英語】

それにしても国王役のコリン・ファースの吃音の演技やそのクイーンズイングリッシュの素晴らしさ。 タイム誌の記事("Enter the King" by Catherine Mayer, p.44-45, Culture, TIME issued on Feb.28, 2011)によれば彼はイギリス生まれではあるものの、教師であった両親がインドで育ち、家族はアフリカに移住、その後英国に戻ってきて再びアメリカミズーリに行くなど、英国生まれ・英国育ちとはちょっと違いどちらかというと言葉では苦労した「ある意味、本物のイギリス人」(so-called quintesential Englishman)だそうです。だからこそ、今回の英国王の役回りがピタッとはまったのかもしれません。

そして舞台となっている英国王室。もう日本人である僕たちはイギリスびいきが多いと言われていますが、そのクイーンズ・イングリッシュの響きの良さについつい惹かれてしまいます。多くの日本女性が英国に憧れるのもわかるような気がします。

【英王室と天皇家】

最後にこの映画を観て感じたことがあります。それは同じ時代の運命に翻弄されたふたつの国のロイヤルファミリィの対照的なスピーチが思い浮かんだということです。

110228Colin Firth
ひとつはこの映画のラストシーンに出てくる英国王ジョージ6世による、ドイツへの宣戦布告を英国民、そして英連邦の人々に伝えるスピーチ。もうひとつはそれから数年を経て英国から1万キロ以上離れた極東の地・日本で昭和天皇が日本国民に敗戦を告げたスピーチです。宣戦布告と敗戦という意味では全く逆のスピーチなのですが、「国民を鼓舞する」という意味では暗い時代に突入することを素直に語り心の準備を呼び掛ける英国王も、戦争に負けてこれから新しい日本を創るように語りかける昭和天皇も、同じ思いだったのではないかと思いました。いづれにしても、リーダーが思いを伝えるスピーチの巧拙は直感的に聴衆に伝わります。そういう意味でも僕ら「平民」にとっても考えさせられる映画でした。

果たして、今の日本で聴衆を感動させるスピーチが出来るリーダーはいるのでしょうか。

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テーマ:イギリス - ジャンル:海外情報

ケニアの銀行革命―新しい銀行のカタチ
【ケータイが変える】

110131Kenya's banking
ケニアで新しい銀行のカタチが広まりつつあるのをご存じですか?写真をご覧ください。そこでは屋台のような窓口で、店員とお客がケータイで何やら取引しています。これって銀行?

1月31日号アジア版タイム誌「ケニアの銀行革命」("Kenya's Banking Revolution" by Alex Perry and Nick Wadhams, p.45-46, Global Business, TIME magazine on Jan.31,2011)という記事に革命的な変化がケニアのファイナンスシーンに起きているという記事がありました。

【簡易店舗にケータイだけ】

日本ではすでに「お財布ケータイ」といった呼称でモバイルバンキングが普及しつつありますが、まだまだ若い世代や一部のケータイを使いこなしている利用者を除いて高齢者や低所得者などには広まっていないのではないでしょうか。

ところがもともと電話設備のインフラや銀行店舗などが限られていたケニアなどのアフリカ諸国で、近年爆発的に携帯電話が一般庶民にまで普及するのに歩調を合わせて、新しい銀行ビジネスが旧来の銀行業界ではないところから出現、広まっているのです。

M-Pesa

その名はサファリコム(Safaricom)。1997年にケニアの携帯電話会社が設立した「銀行」です。仕組みは簡単。今では大衆に広まったケータイを使って、テキストメッセージで顧客から受け取ったキャッシュを僅かな手数料で送金する。その名はM-Pesa。MはモバイルのM、Pesaはスワヒリ語でお金の意味だそうです。当たり前の為替システムの原型ですが、簡易な店舗とケータイだけで出来るので設備投資がほとんどかからないこと、顧客の数は急速に増えていることでリーマンショックもものともせず爆発的に利益をあげているのです。

Mobile banking has been available for years in Japan and elsewhere, but only on a limited basis. M-Pesa's growth has nonetheless been extraodinary. Of Safaricom's 16 million customers, 12 million have M-Pesa accounts - this in a nation of 39 million people.

【もうひとつの革命】

Safaricom
ソーシャルネットワーキングのフェイスブック(Facebook)の利用者が世界中で5億人とか6億人となり、チュニジアの政変を誘発したり、エジプトの民衆蜂起の道具に使われたりと世界中にインターネットを通して物凄い変化が起きていますが、ケータイもアフリカでは10年ほど前のゼロに近かったころから現在は5億人以上が所有していると言われています。ケータイもインターネット同様、電話のインフラがなかった途上国で急速に普及することで、先進国以上の革命的変化が起きているのです。

それが経済にもたらす恩恵も半端ではありません。世界銀行と会計コンサルタントのDeloitteによると、途上国で100人に10台ケータイが追加普及すると、GDPが0.6%から1.2%上昇するそうです。

The World Bank and the consultancy Deloitte found that for every additional 10 mobile phones per 100 people in a developing country, GDP rose 0.6% to 1.2%.

従来型の銀行がほとんど存在しなかったケニアに出現したサファリコムのように新しい「銀行」システムが既存の銀行を呑み込む日がそう遠くない将来に来るのかもしれませんね。

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テーマ:アフリカ - ジャンル:海外情報

スイスの小都市Zugに群がる商品取引業者の怪
【スイスの小都市Zug?】

Zug
みなさんはZug(日本語表記では「ツーク」、英語の発音は"Tsoogk")というスイスの町をご存知ですか?この町はチューリッヒの南にある人口25千人の小さな湖畔の町で、スイス21州のうち最少の州(人口115千人)に位置します。昔は酪農しかなかったこの町に今世界の商品取引業者が軒を連ねてるというのです。一体なぜ?

その疑問に答える記事が1月10日付のタイム誌に掲載されています。

「ツークの秘密」("The Secrets Of Zug" by Vivienne Walt, p.40-41, Global Business, TIME issued on Jan.10,2011)

【世界有数のタックスヘブン

写真に写っているのはコンピューターサーバーではありません。Zugの町にある郵便局の無数の私書箱(P.O.Box)の巨大なケースです。

P.O.Box in Zug
勘のいい方はすでにおわかりでしょう。これがZugに商品取引業者が集まっている理由のヒントです。そう、ここは世界中に点在するタックスヘブン(税金天国)のひとつとして世界中の食糧・天然資源の取引業者が本社として登録しているのです。
世界の主要なタックスヘブンのうち、スイスは約20兆ドル(1700兆円)を集める世界最大のタックスヘブンであり、その多くがこの小さな町Zugに源があるのです。(参考: 世界のタックスヘブンの規模を示すチャート)

Zugには現在、世界有数の穀物、希少金属、石油等の天然資源を扱う商品取引業者が多数本社登録をしています。例えば、Biogen、Glencore、Transoceanといった会社です。といっても彼らは本社の住所をZugの私書箱としているだけ。

【税を巡る攻防】

そもそもこのZugに商品取引業者が多く集積した理由は、1940年代後半にZug市に登録する企業はスイスで発生した所得に対する税金のみ支払えばよいとした法律が施行されたことにあります。それはスイス以外の国で穀物や天然資源を売買し、スイス国外でほとんどの利益を得る商品取引業者にとって、ほとんどZugでは税金がかからないことを意味します。

That law, still in effect, allows Zug-registered companies to pay taxes only on income generated in Switzerland-precious little, for many of them. Zug's tax system seems tailor-made for trading companies, which buy vast quantities of oil, gas and minerals and then sell them to customers around the world, profiting on the margin those trades generate.

そもそもアメリカ国籍の商品取引業者は、米国政府がカリブ海のタックスヘブンに対する規制を強化したことや、Zugでは納税記録がスイス政府にさえ機密にされているというメリットもあることから、Zugに本社を移すキッカケになっているのですが、米国だけでなくEUなどもタックスヘブンへの規制強化を図ろうとしているため、これからますます世界の商品取引業者と各国の税当局との熾烈な攻防は続くでしょう。

いくら利益の極大化が企業の至上命題とはいえ、巨大企業だけが稼いだ利益の税金を払わないでいいような仕組みは到底正当化できないのではないでしょうか。一円たりとも納税を誤魔化せないサラリーマンからすれば怒りばかりがこみあげてきます。あなたはどう思われますか?

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テーマ:ヨーロッパ - ジャンル:海外情報

2010年のタイム誌が選んだ「今年の人」は?
【タイム誌の今年の人】

タイム誌の今年の人が発表されています。

101231TIMEcover
『米タイム誌は15日、年末恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に、世界最大の会員制交流サイト「フェースブック」の創業者、マーク・ザッカーバーグ氏(26)を選んだと発表した。「5億人以上の人を社会的に関連づけたことで、新たな情報交換システムを創造し、我々の生活スタイルも変えた」と授賞理由を述べている。1927年に大西洋横断飛行を果たして初代「今年の人」となったリンドバーグ(当時25歳)に次ぐ若さ。フェースブックは04年にハーバード大の学生だったザッカーバーグ氏が開発。現在は5億人以上のユーザーがいる。』(12月15日付毎日新聞)

SNSとしての使い勝手】

facebook Japan1984年、ニューヨーク、Dobbs Ferryに歯科医の息子に生まれたザッカーバーグが作り上げたソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)Facebookは米国では1億45百万人が活用していますが、日本では170万人足らずなので未だ知らない人も多いかもしれません。しかし、世界77カ国の言語で利用でき、世界中で五億人の利用者がいるこのサイトはこれからもっと早く、もっと広く増殖していくことでしょう。僕もSNSといえば日本のミクシィ(Mixi)を随分以前から使っていましたが、今では外国人とのコミュニケーションが増えたこともあってもっぱらFacebookを使うことが多くなりました。(実際には、Facebookを核にして、mixi、twitterとlivedoor blog、「ブログふくおかよかよか」を相互に結びつけて利用しています。)

その利用者の一人として他のSNSと比較して感じるのですが、やはり実名でのやり取りが中心で世界中とつながっていることが最も大きな魅力であり、その上、友人同士の写真のやり取りやYou tubeなどとの連動など多様な使い方ができることが大きな強みになっていることに感心しています。日本は未だにインターネットのやり取りはミクシィをはじめ匿名が多いのですが、Facebookは実名でのやり取りなので世界中の旧友や知り合いが思いがけずにコンタクトしてきたり、そのオープンなところがGoogleと似ていて驚かされますし、楽しくもあり少し怖いところでもあります。

ザッカーバーグとアサンジ】

タイム誌のカバーストーリー"2010 Person of the Year Mark Zuckerberg" by Lev Grossman, p.32-57, TIME magazine issued on Dec.27-Jan.3,2010には、そのザッカーバーグFacebookの光と影が様々な角度から分析されています。

その中で面白いと思ったのは、「今年の人」の次点となった告発サイト「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサンジ容疑者(39)とザッカーバーグの共通点について、タイム誌は「2人はコインの表裏であり、双方ともに公開性と透明性を求めているが、アサンジ氏が政府や大組織の権力から力を奪うために半ば強制的な透明性を通して彼らを攻撃するのに対し、ザッカーバーグは個人に自由に情報交換するような場を作り出し、個人に力を与えている点だ」としているところにあります。

In a sense, Zuckerberg and Assange are two sides of the same coin. Both express a desire for openness and transparency. While Assange attacks big institutions and voernments through involuntary transparency with the goal of disempowering them. Zuckerberg enables individuals to voluntarily share information with the idea of empowering them.


自由の国と言われるアメリカを舞台に、全く正反対のやり方で公開性と透明性を通して情報の自由度を創りだそうとする2人。賛否両論はあるでしょうがその圧倒的な存在感と影響力に驚かされます。尖閣諸島を巡る日本の情報戦とは一味違った大きな時代の変化と可能性を予感させるアサンジとザッカーバーグです。みなさんはどう思われますか?

それにしても、このところタイム誌やビジネスウィーク誌に、経済にせよ、政治にせよ、文化にせよ、日本の「顔」がほとんど掲載されないようになって存在感がほとんどなくなっていることが気になります。

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テーマ:アメリカ合衆国 - ジャンル:海外情報

アフガン女性の勇気―タイム誌カバーの意味
【ショッキングな写真】

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僕は今までタイム誌のカバー写真でこれほどショッキングなものを見たことはありません。それは、もし「その傷」がなければ見る人を困惑させるどころか、その美しい顔に見惚れるような女性の写真です。

しかし、彼女は誰かによって耳と鼻を削がれ、その惨状を訴えるために敢えてタイム誌のカバーとなることを決断したのです一体、誰が、そしてなぜ?しかも彼女は大丈夫なのでしょうか。そのストーリーは8月9日付アジア版タイム誌の記事「アフガンの女性と戻ってきたタリバン」("Afghan Women and the Return of The Taliban" by Arvy Baker, p.14-22, TIME magazine issued on August 9, 2010)に掲載されています。

タリバンの蛮行】

このカバーにある女性の名前はアイーシャ(Aisha)。18歳。夫の暴行(DV)を受けて、殺されそうになったため夫の家族から逃げ出したところをタリバンに捕まって、他の女性たちへの見せしめのため厳罰を下され、夫からナイフで耳と鼻を削ぎ落されたのです。

タリバンとはみなさんもご存じのとおり、パキスタンとアフガニスタンで活動するイスラム原理主義運動、もしくはその運動を支持する武装勢力のことをいいます。彼らは一時はアフガニスタンを支配した時期もあったのですが、2000年に入って9/11を策動したアルカイーダと連携し、国際的なテロ活動を拡大させたため、アメリカとその有志連合諸国から攻撃され、現在もその戦闘がパキスタン、アフガニスタンを中心に続いています。

特に問題なのは、彼らはもともとはイスラム神学校で教育を受けた「学生」が中心だったのですが、その後過激なイスラム原理主義を信奉するようになり、公開処刑を実施し市民の見せしめにしたり、女性は学ぶ事も働く事も禁止し、外出さえも認めないなど、一時はあったアフガニスタン市民の支持も失ってきたことです。

アメリカなどの支援を受けた現在のアフガニスタン政府はタリバンとは対峙しているため、女性の基本的権利は認められ、例えばオリンピック代表にRobina Muquimyar Jalalaiさんなど2人の女性アスリートが参加するといった女性の社会進出も僅かではありますが進んでいたのです。

【アフガンの女性たちの運命】

Jalalai
ところが、今、アフガン政府はタリバン勢力との一部和解を画策しているとの話があり、そうなれば女性たちの権利は再びタリバン政権時代のように踏みにじられる恐れがあると女性たちは恐れているのです。

そのタリバンの蛮行の端的な例がこのタイム誌のカバーに出たアイーシャさんなのです彼女は命を張って、アフガン政府や世界に「このままでは私のような不幸になる女性がアフガニスタンにどんどん増えていく」と訴えているのです。一枚の写真が世界を動かすことがある。ベトナム戦争のときの米軍の空爆から逃れる少女の写真が世界を動かしたこともありました。今回、この写真がそうなるのかどうか、それはわかりません。しかし、少しでも世界の人たちがアフガンの女性の惨状に目を向けるきっかけにはなると思います。

いづれにしても気になるのはアィーシャさんの運命です。タイム誌に掲載されたことでタリバンから狙われるのではないか。彼女の顔を整形して元の顔を取り戻すことは出来ないのか。疑問はつきません。幸いなことにタイム誌のmanaging editorのRichard Stengel氏は彼のメッセージの中で、彼女の写真を掲載することで彼女の身の危険が侵されないように様々な手立てを打つとともに、カリフォルニアの人道支援組織 the Grossman Burn Foundationの助けでアメリカで整形手術を受けるように手配しているそうです。本当によかったです。

この記事はアメリカのプロパガンダだと思う方もいるかもしれません。しかし、日本の新聞や雑誌でここまで踏み込んだスクープを出せるメディアは果たしてあるでしょうか。僕はアィーシャさんとタイム誌の勇気に脱帽します。みなさんはどう思われますか?

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急ピッチで進む鉄道建設―中国の躍進
【進む鉄道建設】

リニアモーターカー
上海浦東国際空港と上海の中心部を結ぶ約30キロを7分間で走るリニアモーターカーはなんと時速430キロで走るということで、上海観光のひとつの目玉になっています。僕は3月に上海を訪れたときにはそのリニアカーに乗るチャンスはなかったのですが、上海に限らず今中国では主要都市を結ぶ鉄道網の構築計画が着々と進んでいるという記事が8月16日号のアジア版タイム誌に掲載されています。

「成長のエンジン」("Engines of Growth" by Austing Ramzy, p.34-36, TIME magazine)

【広がる鉄道網】

中国の鉄道
2008年のリーマンショック以降も、欧州や米国、日本などの景気低迷を尻目に成長を続けている中国。その重要な部分はインフラ整備に関わる投資なのですが、中でも鉄道網の整備計画とその進捗状況には目を見張るものがあるようです。

例えば列車の平均速度。1993年には時速48キロだったのが、2007年には70キロまで伸びています。中でも武漢と広州間は時速313キロで走り、10.5時間かかっていたのが今では3時間で行き来できるのです。

中国政府の計画では、鉄道建設投資に2009年の880億ドルから今年は1200億ドル、そして今後10年間で7000億ドル以上が投下される予定だそうです。特に高速鉄道網については、現在の6552キロを2年間で倍にするという野心的な計画を立てています。これが実現すると中国の鉄道網は主要国の中では飛びぬけて競争力のあるものになるでしょう。

【狙いとリスク】

その狙いは、中国国内の西部地域の長期的な経済発展を促すためだと言われています。国内の鉄道網が整備されれば人とモノの流れが円滑になり、特に高速鉄道が伸びることで国内経済のコストの削減、効率化が進むからです。

しかし、リスクもあります。依然として中国の人口の半分は地方に住んでおり、都市との所得格差も大きく、高いチケット代金を払って高速鉄道を利用することは出来ない人々も多いのです。所得の低い人たちにとっては高速鉄道よりももっと安い鉄道の整備を優先させるべきとの意見も多いのです。

鉄道はCO2の排出も少なく、地球温暖化防止にも役に立つわけですから、中国の野心的な鉄道整備計画は世界全体としても望ましいことだと思います。したがって、中国の鉄道網整備は、CO2の排出がアメリカに次いで多いといわれる中国の環境政策面での優位性を高めるひとつの武器となることでしょう。

現在は鉄道網が世界で最も発達していると言われる日本も、うかうかしていられませんね。

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テーマ:中国 - ジャンル:海外情報

厳粛な生と死―シエラ・レオーネの母子
【ひとりの母親の死】

シエラ・レオーネ
アフリカ大陸の西側に位置する小さな国シエラ・レオーネ。この国ではまだまだ母親の出産時のリスクは高く、なんと10万回の出産のうち、およそ千回の出産で母親が亡くなるという。 おおよそ10人のうち、ひとりの母親が出産時に亡くなるという世界で最も出産リスクの高い国だ。

この写真に写っている18歳の母親Sessayさんも双子の赤ちゃんを出産して直ぐに出血多量で亡くなった。母親の死と引き換えに新しい生命が誕生したのだ。それは厳粛すぎる人間の生と死のドラマだ。 ("The Perils of Pregnancy: One Woman's Tale of Dying to Give Birth" on Page.34-41, TIME magazine issued on June 14-21, 2010)

【まだ多くの改善の余地】

日本では産婦人科医の減少という問題はあるものの、出産そのものにまつわる母親のリスクというものは世界的には最も低い国ではなかろうか。しかし、発展途上国を含む世界181カ国では、まだまだ出産時の母親のリスクは極めて高いのが現状なのだ。しかもそのリスクの多くは、もっともっと低減させることが可能なケースが多いという。

世界の最近の母親の出産時の死亡率は、1980年?2008年の間に毎年1.3%ずつ改善しているという。そして多くの国で2015年までに2000年の水準から75%死亡率を改善しようという努力が行われている。

母親を救うのは実に単純なことだ。例えばペルーでは田舎に住んで出産を控えた母親をメディカルセンターに待機させるということであったり、インドではメディカルセンターではなく家で出産するのが慣習であるため、センターに来ればお金をもらえるというインセンティブを与えると言ったようなことだ。

いづれにしても、1分間にひとりの母親が世界のどこかで出産とともにこの世を去るという厳しい現実をなんとか少しでも改善して、安心して子供が産める世の中になっていくことを望みたいものだ。そして子供を生むということが母親にとって未だに多くの国にとって命を懸けた営みであることを忘れないようにしたい。

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テーマ:アフリカ - ジャンル:海外情報